東北魂を見せる-。第98回全国高校野球選手権は今日16日から3回戦に突入。2勝して16強入りした盛岡大付(岩手)は、鳴門(徳島)と対戦する。15日は兵庫・西宮市内で約2時間、調整した。前日14日の八戸学院光星(青森)の逆転サヨナラ負けの無念を思い、勝利への意識を高めた。チーム初、岩手県勢としては13年4強の花巻東以来、3年ぶりの8強入りをかける。

 本当に負けられない戦いだ。練習前に、盛岡大付の関口清治監督(39)がつぶやいた。「東北地区の学校が消えていくのは、仲間として寂しい」。みちのく勢で3回戦に勝ち残ったのは、同校と聖光学院(福島)だけ。既に4校が夏を終えた。この日の守備、打撃練習に今まで以上に熱がこもったのは、初のベスト8入りがかかっているだけではない。東北魂が試される。

 八戸学院光星の9回4点差の逆転サヨナラ負けを、関口監督はサウナで、主将の石橋泰成内野手(3年)は宿舎の部屋のテレビで見た。「2死までいって、甲子園を知る高校が負けることはないと思った。厳しい場所でもあるな」と同主将は振り返った。青森のライバル校とは親交が深く、1カ月に2度も練習試合を行うことがある。全国で打ち勝つために採り入れた、投手を通常より約7メートル打者に近づけて投げさせる近距離バッティングは、光星から教わった。

 対戦相手の鳴門は、2回戦でセンバツ覇者の智弁学園(奈良)を破った。同点の9回に3点を奪った。関口監督は「集中力でひっくり返す。終盤が怖い」と警戒する。光星から甲子園の魔物を知らされたからこそ、主砲の塩谷洋樹外野手(3年)は「明日はわが身なので。もし点差があっても、油断はできない」と気を引き締めた。

 みちのく勢は08年から、必ず準々決勝以上に進出している。その8年で準決勝5度、決勝には3度駒を進めた。2試合連続の2本塁打&14安打の強打で、春夏通じて初めて1大会2勝を挙げた盛岡大付。未知の領域、8強入りに足を踏み入れようとする鳴門戦は、近年の東北6県の高レベルを示す戦いにもなる。【久野朗】

 ◆岩手VS徳島 過去4度対戦して2勝2敗。直近では、13年準々決勝で花巻東が鳴門に5-4と競り勝った。93年には川上憲伸投手(元中日)を擁した徳島商を、初出場の久慈商が8回表まで7-0とリードしながら、直後の裏に同点とされて9回に1点を奪われてサヨナラ負けした。