仙台育英(宮城1位)が2年ぶり12度目のセンバツ出場を確実にした。仙台育英は5回、主将で1番の西巻賢二内野手(2年)の同点左越え二塁打を皮切りに逆転。聖光学院(福島1位)を3-1で下した。今日19日の決勝で9度目の優勝を狙う。

 左手1本で放った打球に、西巻の執念が乗り移った。0-1の5回裏1死一、二塁。フルカウントの7球目、膝元低めの真ん中直球を左腕ですくい上げた。「打ち気に入って体が前にいったけど、片手が残っていた。うまく打球が乗ってくれた」。左翼の頭上を破る同点二塁打。2番斎藤育輝内野手(2年)の決勝中犠飛を呼んだ。直前の5回表2死満塁では、中前に抜けそうな痛烈なゴロを横っ跳びで好捕し、そのまま二塁にタッチ。主将の攻守にわたる活躍が2年ぶりの春切符を呼び込んだ。

 佐々木順一朗監督(56)は素直に西巻の一打を褒めたたえた。「片手であそこまで持って行くのはなかなか高校生ではいない」と絶賛し「西巻にチャンスが回っていくこと自体、これで負けてもしょうがないという気持ちでまわりは見ていた」と本音も明かした。

 仙台育英系列の秀光中で西巻は、主将就任後、公式戦無敗で全国中学軟式野球大会で優勝を果たした。高校の新チームでも自ら立候補し、満場一致で主将に就任した。自らの背中でチームを鼓舞する姿に、佐々木監督は「しっかりしている。自分が高校生ならああはならないと思う」と太鼓判を押す。

 高校進学時には小6の楽天ジュニアで一緒だった長谷川拓帆投手(2年)らを誘い、同期5人が集結。西巻は「日本一になろうって声をかけました。知っている仲間がいるのはやりやすい」と胸を張る。センバツ当確ランプをともしても「まだ神宮がある。引き締めてやっていきたい」と軸がぶれない。だから、強い。【高橋洋平】

 ◆西巻賢二(にしまき・けんじ)1999年(平11)4月22日、福島・会津若松市生まれ。小金井小4年から野球を始め、秀光中を経て仙台育英に。166センチ、65キロ。右投げ右打ち。家族は両親、兄。血液型A。