仙台育英(宮城)のリードオフマンが、完全復活に向けて大きく前進した。西巻は17日、太成学院大高との練習試合ダブルヘッダーに「1番遊撃」でフル出場。「イメージしても、守備に就かないとバッターとの距離感とか分からないので。何の問題もなくできた」。今年初めて体感した守備のリズムが心地よかった。

 2月末に右肘に違和感を覚えた。8日の対外試合解禁以降の甲子園メンバーで戦った5試合は、特別ルールの指名打者として打撃に専念。この日は本番前の最後の練習試合で、守備の感覚を取り戻す必要があった。第1試合は4度の遊ゴロをさばいた。第2試合は7回2死一塁で、三遊間の打球を逆シングルで捕球し、バックハンドトスで二塁を封殺するファインプレー。「まだ5割。手先だけ」と全力での送球は避けているが、佐々木順一朗監督(57)は「ボールを捕るまでの動きは戻った」と安堵(あんど)した。

 バットスイングにも響いた右肘は、電気治療や、温浴効果のある入浴剤を入れた45度の熱い風呂に40分つかり「だいぶ良くなってきている」と笑顔を見せた。その打撃は第1試合こそ1安打だったが、第2試合は二塁打2本を含む3安打と勝利に貢献した。

 チームは練習試合7戦全勝と、大きな弾みをつけた。「勝ち負けは気にしていなかったけど、リードされたこともあって勝てたのは大きい」。22日予定の福井工大福井との1回戦は大会第4日。右肘の回復がより見込める日程は、西巻にも仙台育英にもプラスに働く。【久野朗】