盛岡大付(岩手)12年ぶりの女子マネジャー、坂上(さかうえ)日菜乃さん(3年)が、憧れの甲子園に立った。

 盛岡大付のプラカードを持って、リハーサルで入場行進。行進中に司会から名前をアナウンスされたが「歩くのが精いっぱいで聞こえなかった」と緊張していた。それでも選手と同じ白のアップシューズで、甲子園の土を踏みしめた。

 08年8月に関口清治監督(39)が盛岡大付を率いてから、女子マネジャーは募集していなかった。小6の時、テレビで見た甲子園に魅了された坂上さんは、それを知りながら体験入学や入試面接でも入部を直訴した。入学後は松崎克哉部長(30)らと面談し、3回断られた。「トロフィーを磨くだけでもいいですから」。4度目に首脳陣が根負けした。

 室内練習場はなく、冬場は長袖を6枚着込んで氷点下のグラウンドに立つ。陰でチームを支えてきた坂上さんを、松崎部長は「頑張っている」と関口監督に相談。甲子園練習の女子部員は条件付きで、立つ場所は人工芝部分に限られるため、土を踏める入場行進のプラカード役に抜てきした。

 部員が多いため、記録員としてベンチには入らない坂上さんは「県大会優勝、東北大会準優勝した選手には感謝です」と、同級生に甲子園に連れて来てもらったことをうれしそうに話した。19日が本番の開会式は「自分の高校のプラカードなので、絶対に泥を塗ることのないように歩きたいと思います」と、飛びっきりの笑顔を見せた。