2年ぶり16度目出場の静岡が12-3で、21世紀枠の不来方(岩手)に快勝した。先発の左腕エース池谷蒼大投手(3年)が7回を6安打9三振1失点と好投。打線も先発全員16安打を記録した。同校は春通算10勝目で、県勢の春夏甲子園通算140勝目となった。2回戦は第8日(27日)第3試合(午後2時開始予定)、今日25日の宇部鴻城(山口)-大阪桐蔭戦の勝者と対戦する。

 1回表、不来方に1点を先制されても、エースは動じなかった。

 池谷 点を取られるイメージもできていたので、慌てませんでした。甲子園は雰囲気も良く、投げていて気持ち良かったです。

 2回からは持ち前のテンポの良さを取り戻した。最速は137キロながら、キレのいいスライダーとチェンジアップを織り交ぜ、相手打者に空を切らせた。昨年11月の明治神宮大会では早実(東京)を相手に7四死球と乱れたが、この日は無四球。大舞台での精神的な成長も示し、冷静に自分の状況を説明した。「今日は60点。7、8割の力で、フォームのバランスも良く疲れもありません」。栗林俊輔監督(44)も「力むことなく、バランスよく投げてくれましたね」と池谷を評価した。

 約2万2000人の観衆の多くは部員10人の不来方に声援を送ったが、静高打線も冷静に球を見極め、安打を重ねた。1回裏2死一、三塁から藤田誠也内野手(3年)の2点適時二塁打で逆転し、打者一巡で5点を奪った。

 第1打席で犠打失敗の大石哲平内野手(3年)は、その後に3安打で打線をけん引。実はこの日、軟式野球全国中学大会出場中の弟歩(東海大静岡翔洋中3年)から「全中で7本ヒット打つから、甲子園で1本打ってきて」とLINEが届いた。大石が3年前の全中で放った6本を超える「兄超え宣言」に、「なめんなよ、お前」とすぐに返信。大舞台での猛打賞で兄の威厳を示した。

 大石 先制されて向こう(不来方)が盛り上がり、甲子園の雰囲気を味わいました。2回戦はどっちが来ても、一戦必勝のつもりでやりたいです。

 目標は戦後初の4強。余力を残して好投した池谷は「決勝へ向け、まだまだ上げていけます」とも言った。この勢いで2回戦も必勝を期す。【鈴木正章】

 ◆静岡が春10勝 2年ぶり16度目出場の静岡が、15年2回戦の木更津総合(千葉)戦以来の勝利で、センバツ通算10勝目を挙げた。夏の甲子園では22勝を記録しており、春夏通算の勝利数を32に伸ばした。