かつて巨人、ヤンキースなどで活躍した松井秀喜氏もそうだった。フリー打撃の捕手役を務めたブルペン捕手が「見逃すと思って、ボールを捕りにいった瞬間、ブーンという音とともにボールが消えた」と証言。消えたボールは右翼席後方の木に当たって、球場敷地内に戻り、大きく弾んだ。プロと高校生のレベル差はあるが現象は同じだった。

 公式戦では、自身最長を更新する5試合連続のアーチだった。春の都大会準々決勝の駒大高戦から、相手のレベルが上がる中で結果を残し続けた。「気にしてなかったんで、びっくりですけど」と笑顔。「自分も自信になる。いいピッチャーへの対し方も出来つつある」と自信を深めた。これで高校通算本塁打も、神港学園・伊藤を超える95本に伸ばした。

 1発を放ちながら、チームは準々決勝で敗退した。全国制覇を達成するにはこの日の作新学院など、強豪校の撃破が求められる。「同じ結果を求めても成長はできないと思うので、さらにレベルアップしたいです」。節目の100号まで残り5本。週末には沖縄での招待試合が4試合予定され、今月中の達成も視界にとらえた。【久保賢吾】