作戦は中盤までぴたりとはまった。渋谷(大阪)の先発・豊島大輝投手(3年)は、6回まで大阪桐蔭をわずか1点に抑えていた。初戦で投げなかった、大きな弧を描くスローカーブを解禁。試合前に決めていた「フライを打たせて取る」戦法がはまった。

 7回に1点を失うと8回に連打から4失点。1-6で敗れた。上嶌伸次監督(35)は「自分たちで考えて練習できるように促してきた。よく考えて準備してきたと思います」と晴れやかな表情を浮かべた。上嶌監督が今年から学年主任を務めることになり、練習開始時間にグラウンドに出ることが難しくなった。そこで練習メニューも全て、選手が考案。上嶌監督就任後初めてのことだった。

 投手の継投は、いつも豊島が考える。この日は「リードしている状態で、6回から2年生に託す」と決めていた。しかし5回が終わって0-1。豊島は「放りたいです」と上嶌監督に続投を申し出た。「逆転した時に変えてください」とその後の継投の場面も考え直し、メンバーの総意で続投することになった。

 今春の府大会の初戦では、先発し3失点したところで「マウンドを降ろさせてください」と上嶌監督に告げた。自分から降板をお願いしながらも、悔いが残っていた。この日は6失点したが9回を投げ抜くことができた。「調子が尻上がりだったんで、意思を伝えました」と晴れやかな表情を浮かべた。【磯綾乃】