21世紀枠で出場の膳所(ぜぜ=滋賀)が0-10で散った。

 序盤3回までは0-0。データを使った大胆な「変則守備シフト」がはまり甲子園の観衆を沸かせた。左打者が打席に入ると三塁手が大きく右へ移動。三塁線はがら空きになるが、それでも相手打者のゴロが正面に飛んだ。外野手はフェンス手前まで下がり深く守った。抜けそうな打球をナイスキャッチする場面もあった。まるでメジャーリーグのように各打者で守備位置を大きく、大胆に変えた。

 しかし相手打者の力が上回った。4回裏1死一塁。プロ注目の強打者・上田の大きな打球が左中間へ。右へ寄っていた左翼手が落下点に入ったかに見えたが上を越されて先制点を許した。8回にはそれまで無失策だった守備が乱れ5失点。力尽きた。

 上品充朗監督(48)は「序盤ははまったんですが。はまっている間に先取点を取りたかった。後半集中力が切れたことが残念」と話した。

 変則守備シフトについて「こんなに極端ではなかったんですが、データを蓄積してここ1週間で時間をかけて工夫しました。実証できた部分もありましたし、新しい発見もあって『野球って面白いな』とあらためて思いました。半歩か一歩は進んだんじゃないかなと思います」と手応えを感じたようすだった。

 21世紀枠で59年ぶりの甲子園。アルプススタンドは超満員のファンで埋まり鮮やかな「Z」の人文字が浮かび上がった。「多くの方に応援していただき感謝します。選手は幸せ。貴重な体験をしたと思います。選ばれた時は正直『怖い』という気持ちもありました。試合が壊れてしまったらどうしようとか、心配でした。でもせっかく選んでいただいたので、その理由を見せようと。求められた部分を一生懸命出すべきだし、結果は0-10でしたが、評価していただいた部分は出せたと思います」と話した。

 滋賀県屈指の進学校。「世の中、努力しても報われないことが多い。一生懸命に取り組んでも及ばないことがあることを学んだのでは。これにへこたれずに次に進んでほしい」と上品監督は締めた。