いざ出陣-。夏の甲子園第100回記念大会出場を決める地方大会が、7月から順次開幕します。「みちのくプラス!!」では今日21日から3週連続で高校野球特集を実施。第1回はデスクと記者の緊急対談「東北6県注目選手100人」をお届けします。総力取材でこの夏の注目球児100人をピックアップ。「怪物」「異名」「連続」「逆襲」「復活」「再起」の6つのテーマに分け、対話形式で光を当てていきます。【取材・構成=高橋洋平】

 デスク(以下デ) 東北大会も終わり、いよいよ夏本番だな。

 記者(以下記) 今回はテーマトークということで6項目準備しました。まずはこの夏の話題を独占予定の「怪物」からです。

 デ 打者は、東北大会で1試合3発を含む計4本塁打をマークした東北(宮城)の杉沢龍内野手(3年)で当確だろう。

 記 1年夏の甲子園に出場した大器が本格化しました。打撃フォームを変更したのもありますが、最大の要因は「ライバル心」。東北大会開会式に来場した前年優勝の仙台育英(宮城)の主将と対面し、心のスイッチが入ったみたいです。

 デ 杉沢の「あのユニホームを見て、闘志が湧いた。夏は育英とやるまで負けられない」というコメントはインパクトあるね。

 記 喜怒哀楽の表現が希薄になった現代では、珍しい存在です。「怪物」投手は大船渡(岩手)の最速153キロ右腕・佐々木朗希(2年)で決まりです。

 デ 昨秋は成長痛に苦しんだみたいだが、この春は万全の状態で投げている。

 記 身長は3センチ伸びて189センチ、体重は10キロ増の81キロで体が完成。県初戦負けでしたが、今春の全国最速となる153キロを計測しました。50メートル5秒9の快足を生かして1番も任され、二刀流です。まるで岩手の偉大な先輩「大谷2世」ですね。

 デ 次の項目の「異名」とは一体、なんだ。

 記 「津軽の大砲」こと弘前東(青森)の桜庭佑希也外野手(3年)は東北大会でも1発を放ちました。初の甲子園出場には桜庭の長打力が必要です。

 デ 投手にも「異名」はいるのか。

 記 金足農(秋田)の最速147キロ右腕・吉田輝星(3年)が「桑田2世」を襲名しました。東北大会初戦で完敗した専大北上(岩手)率いる元巨人の中尾孝義監督(62)は「桑田級」とコメント。かつての相棒の名前を引用するほど、総合力は非常に高いです。

 デ 「連続」は聖光学院(福島)の夏12連覇を意味しているんだな。

 記 正解です。唯一の死角だった投手陣にめどが立ちました。東北大会ではセンバツ後に右肘を再手術したエース右腕の衛藤慎也(3年)が登板。夏本番は万全でしょう。

 デ 日大山形も3季「連続」甲子園に挑戦する。春は県8強で敗退した。

 記 エース右腕の佐藤洸太(3年)が健在です。センバツ後も成長しており、現在は最速140キロを超える直球を投げ込みます。

 デ 次の「逆襲」はイメージしやすいな。公立の弘前工(青森)は東北大会で聖光学院に肉薄した。

 記 120キロに満たない右下手投げの米沢伊将(3年)が好投しました。速球対策が進む中で、逆に遅球は武器になりますね。

 デ 磐城(福島)は夏の甲子園準優勝の伝統校だ。

 記 最速139キロのエース左腕・小山泰生(3年)は楽天ジュニア出身。春の県3位決定戦では延長13回を5安打完封しました。

 デ 「復活」といえば明桜(秋田)の山口航輝投手(3年)だろうな。

 記 打者としては本塁打を連発してますが、昨夏の右肩亜脱臼の影響で最速146キロ右腕としての登板は夏に持ち越しです。山口が登板しなくても、相手を圧倒する打力はあります。

 デ 戦後初の夏V3を狙う盛岡大付(岩手)は一関学院に県2回戦で負けた。

 記 春は故障明けだったエース左腕の松本跳馬(3年)が完全「復活」。調子が戻り、虎視眈々(たんたん)と優勝を狙ってます。

 デ 最後は「再起」。

 記 処分明けの仙台育英(宮城)はぶっつけ本番で夏に臨みます。エース格に成長した右腕の田中星流(3年)は最速143キロを誇り、2種類のスライダーなど6種類の変化球を操ります。

 デ 酒田南(山形)も春は辞退した。昨季から4番を任される伊藤海斗外野手(2年)の調子はどうだ。

 記 練習試合で2打席連続弾を放つなど、調子を上げています。あだ名の「アナコンダ」のごとく、相手をかみついて離しません。

 デ これだけの注目選手がいるんだから、この夏も絶対に盛り上がるな。

 記 第100回記念大会の激闘を、記録にも記憶にも残していきたいですね。