第100回の夏で、銀河系軍団が最後まで輝き続けた。大阪桐蔭(北大阪)が決勝で金足農(秋田)を13-2で下し、4年ぶり5度目の優勝を果たした。

   ◇   ◇   ◇

 勝利の瞬間、小谷優宇記録員(3年)はベンチ前で西谷浩一監督(48)のハグを受けた。「データ班として野球に勝ちたいと思っていた。僕たちの代で優勝できてうれしい」。2度目の春夏連覇の裏には「データ班」の存在もあった。

 前日20日の午後8時から深夜2時までの約6時間、小谷は石田寿也コーチと2人で金足農の映像研究を行った。B4用紙一枚にまとめてベンチへ。この日は「カウントが悪くなると外の真っすぐが多い。そこをきっちり、得点シーンでやってくれました」と笑顔を見せた。

 王者相手に“奇襲”も多かった今夏。北大阪大会準決勝では、1度も登板経験のなかった野手の先発の可能性も伝えるなど、大きな戦力となった。沖学園との2回戦も、南福岡大会で登板わずか2回1/3の投手が先発。「長身で最速146キロと聞いていた。たぶん真っすぐに自信があると思った」とすぐに読んだ。

 小谷はもともと投手。最初は記録員の仕事に気が進まなかった。データ集めも時間つぶしのような気持ちだった。秋の神宮大会で敗れると「どにかして勝たせたい。データを取ることで少しでも役に立てたらと思うようになった」と取り組み方が変わった。「西谷先生には『ありがとう』と言われました。やってきてよかった」。部員63人で成し遂げた偉業だった。