進路はプロ。今夏の甲子園で準優勝した金足農(秋田)の最速152キロ右腕、吉田輝星投手(3年)がプロ志望届を提出することが4日、関係者への取材で分かった。

今夏の秋田大会開幕前は八戸学院大(北東北、青森)への進学が既定路線だったが、福井国体後にプロ入りへの意思を固め、同大へ進学を辞退した。週明けに進路表明会見が行われる。

今夏、日本中を沸かせた吉田が、ついにプロ入りを決意した。2日に福井国体が終わり、秋田に帰郷した翌4日に家族と金足農の中泉一豊監督(46)と相談し、結論を導き出した。吉田本人は2日の常葉大菊川(静岡)戦後に「後悔しないような道を選びたい」と話していた。来週、同校で行われる進路表明会見で自らの言葉でプロ入りを宣言する。

提出が遅れていたのには理由があった。今夏の秋田大会前には、投球指導を仰いでいた八戸学院大・正村公弘監督(55)のいる同大への進学が既定路線だった。だが、今夏の甲子園で見せた力投で評価がうなぎ上り。一躍、ドラフト上位候補に名乗り出ていた。甲子園後に行われたU18アジア選手権(宮崎)ではプロ志望の大阪桐蔭の根尾、藤原、柿木らに刺激を受け、プロ入りと進学で気持ちが揺れ動いていた。甲子園を終えてからは一貫して「いずれはプロ」とだけ言い、態度を表明することはなかった。

そんな、プロへの憧れを口にする息子の姿を間近に見ていた父正樹さん(43)の心境に変化があった。金足農・中泉監督とともに正樹さんは一貫して進学を希望していたが、観戦に訪れていた福井国体で「自分が責任を持って決めた進路については尊重したい」と息子の決断を後押しする姿勢を打ち出していた。4日の中泉監督との会談でも、吉田がプロ入りへの思いを熱く語ったと思われる。結果的には吉田の熱に押される形でプロ志望届提出が決断された。

既に高いレベルで完成されており、今年の高校生投手NO・1の座は揺らがない。福井国体で自己最速を2キロ更新した152キロの直球に加え、曲がり幅が違う2種類のツーシームなど8つの変化球を自在に操る。けん制、フィールディング、クイックなど投手に必要なスキルをすべて持ち合わせる。さらに第100回の甲子園を沸かせたスター性は抜群で、圧倒的な集客力が見込まれる。今後はプロ12球団が対応に追われる。甲子園を沸かせたヒーローの争奪戦が始まる。