不調に苦しんでいた横浜(神奈川)の今秋ドラフト上位候補左腕・及川雅貴投手(3年)が、母の日に母を安心させた。

専大松戸(千葉)との練習試合で、4-5と1点リードされた5回から登板。相手4番の丹呉響平内野手(3年)から直球、直球、チェンジアップと3球連続空振りでの三振を奪うなど、上々のスタートを切った。

センバツ初戦の明豊(大分)戦で制球難から崩れて以降、不安定なマウンドが続いた及川だが、この日は別人のようだった。最速149キロをマークした直球に、変化球もさえ、打者18人から9奪三振の快投で、ゲームセットまで投げきった。5回3安打1四球で無失点。チームも逆転し、勝利投手になった。センバツ以降で5イニングを投げたのは初めてだ。

及川は開口一番「久しぶりにいい感覚でした」とホッとした表情を浮かべ「これを忘れないようにしたい」と話した。体重移動、トップの作り方など、課題が全て「しっくりいきました」という。「左右のぶれがなく、バランス良いフォームに戻った」(中日小山スカウト)「気持ちよく投げられている。リズムがすごく良くなった」(巨人円谷スカウト)など、ネット裏からも高評価が相次いだ。

スタンドで見守った両親も、試合後は息子と同じようにホッとした表情だった。母直美さんは試合前に「今はつらいと思うけれど、何とか乗り越えてほしい」と願っていた。母の思いに応えるかのようなピッチングが、何よりのプレゼントだ。及川はそんな両親への思いも口にした。

「子どものことをとても思ってくれて、こうやって試合もたくさん見に来てくれる。恵まれているなと思います。支えてくれて、本当に感謝しています」。