<高校野球親善試合:常葉学園菊川11-10米国選抜>◇22日◇静岡・草薙球場

 常葉学園菊川(静岡)が、11-10で米国選抜に逆転勝ちした。2-8で迎えた5回裏。打者11人を送る猛攻で一挙8得点。準優勝した第90回全国高校野球選手権で史上初の3試合連続1イニング7点以上を記録した打線が、この日もビッグイニングをつくって逆転に成功した。1番酒井嵩裕遊撃手(3年)は、2本塁打に好守連発と活躍。日米でプロ経験を持つ相手監督をうならせた。

 メジャーの卵を相手に、常葉菊川が全国準優勝の実力を見せつけた。1回裏、先頭の酒井は左翼フェンス直撃の当たりを放つ。相手左翼がもたつく間に、50メートル6秒1の俊足を飛ばして一気に本塁生還。両翼91メートルと狭い草薙では珍しい、先頭打者ランニング本塁打。6回にも左翼へ特大のソロ本塁打。「投手は日本のトップレベルの方がいい。草薙での最後の試合を楽しんでできた」と振り返った。

 3打数2本塁打2打点の酒井は、守備でも切れのある動きを披露。6つの遊撃ゴロをさばいた。中日、パドレスと日米でプロ経験を持つ相手のジョージ・ヒンショー監督(48)は「遊撃手が印象的。守備と打撃でプロスペクト(有望株)だ」と絶賛した。

 酒井に引っ張られるように、3年生が中心の打線は5回、甲子園をほうふつさせる爆発を見せた。7番樋口政宏中堅手(3年)が四球で口火を切ると、この回8人目の5番上嶋健司一塁手(3年)は「甲子園かと思った」と中前に同点打。続く石川凌捕手(3年)は「甲子園のように、なんでか打てた」と右前に逆転打を放った。6安打2四死球で打者11人の猛攻。樋口は、この回2度目の打席で右中間本塁打し「点の入り方が甲子園ぽい。あの流れなら打てますよ」と、当然のように話した。

 この日は全日本高校選抜入りした町田友潤二塁手(3年)ら3人と、左ひじ痛の検査でエース戸狩聡希(3年)を欠いた。それでも主力の穴を感じさせず、打線爆発した常葉菊川。大分国体(9月28日開幕)でも、大暴れが期待できそうだ。【斎藤直樹】