<高校野球・秋季岩手県大会:花巻東3-2福岡>◇20日◇準決勝◇岩手県営野球場

 花巻東が3-2で福岡を下し、2年ぶり11度目の東北大会出場を決めた。最速149キロ左腕、菊池雄星(2年)が6安打9奪三振の2失点で完投。課題も残したが、来秋ドラフト候補生にプロ3球団のスカウトが熱視線を注いだ。

 最後の打者を遊飛に仕留めると、菊池はグラブをたたきながら「みんなに助けられた」というナインを迎えた。2回に先制ソロを浴び8回には自らのミスで同点とされたエースは、自分を差し置いて仲間をたたえたが、自らの素質も十分に発揮した。伸びのある直球とスライダーで凡打の山を築く。許した6安打中、3本が内野安打。外野への打球は3本に抑えた。

 最速149キロを誇る快速左腕をスタンドから巨人、広島、ロッテのスカウトが見詰めた。菊池は制球難を克服するため、今大会直前にフォームをスリークオーターに改造。この日の最速こそ141キロ止まりだったが、広島の近藤芳久スカウト(41)は「肝心なのは球速ではなく、球持ちの良さやボールの切れ。そういう意味でも、面白いよね」と評価した。

 被弾以外にも反省点はあった。1点リードの8回2死二塁。菊池は2球連続でボークを犯した。「ちょっと焦りました」と、セットポジションからの投球動作の静止が不完全と判定され同点にされた。「冷静な投球が、いかに大事かが分かった。次は絶対にないようにしたい」。来春センバツへの第1関門を突破したプロ注目の逸材は、反省を収穫にする。【由本裕貴】