<高校野球:秋季近畿大会>◇10月31日◇準々決勝◇滋賀・皇子山

 神港学園(兵庫3位)が延長14回の激闘を制し、4年ぶりのセンバツ出場に当確ランプを灯した。福知山成美(京都2位)に対し、延長14回2死二、三塁から捕逸で3-2とサヨナラ勝ち。エース前仲正志(2年)は14回241球を1人で投げきった。神戸国際大付(兵庫1位)は石岡諒太内野手(2年)のランニング本塁打から4点を挙げ、天理(奈良1位)に5-3と逆転勝ち。兵庫2校の4強入りで、07年春以来の兵庫アベック出場がほぼ確実になった。

 ナイター照明に照らされたホーム後方、三塁側寄りのファウルゾーンに捕手がそらした白球が転がった。延長14回2死二、三塁で、福知山成美バッテリーが痛恨のミス。三塁走者の益田がサヨナラのホームを駆け抜けた。午後1時47分のプレーボールから3時間35分。神港学園がセンバツ当確ラインにたどり着いた。

 「こんなに投げたのは初めて。でも体力はまだまだ大丈夫でした」。14回、241球を投げ抜いた前仲は頼もしかった。兵庫県大会3回戦の社戦で延長11回完封を経験したが、14回は野球人生初。10月4日の県3位決定戦直後から右肩違和感を訴え、同24日の近畿大会初戦近江(滋賀1位)戦直前まで投球練習を見合わせた。近江戦終盤には両足がつり、北原光広監督(55)をあわてさせたエースが、たくましくなった。

 延長10回、13回の2死満塁、14回2死一、二塁をいずれも三振で切り抜けた。「外のゾーンは広めだったので、フルカウントからも自信を持って外に投げられた」。最速144キロの直球に縦、斜め、横のスライダーを投げ分けた。10安打を浴びても、要所で奪った三振が12個を数えた。

 1年春からベンチ入りしながら、2度の夏はメンバー落ち。今夏は「緊張感がない」と監督に慢心を見抜かれた。新チームになって「自分が引っ張らないと」と才能にようやく自覚が加わった。「ここ一番で打者の内角をつける気持ちの強さがある。とにかく前仲。よく投げてくれました」。自身は腰痛に耐えられず痛み止めを飲んで指揮を執った北原監督は、顔色一つ変えずに投げ続けた大黒柱をたたえた。【堀まどか】