第82回選抜高校野球(3月21日開幕、甲子園)の出場校が29日、選抜選考委員会で決定し、昨秋東北大会準優勝の盛岡大付(岩手)が、7年ぶり2度目の出場を決めた。夏を含めた過去7度の甲子園はすべて初戦敗退で、初出場からの7連敗はワーストタイ記録。昨年の「花巻東旋風」に続くためにも、関口清治監督(32)は「まずは1勝を」と意気込んだ。

 吉報が校長室に届いた午後3時11分、ナインは雪上を走り込んでいた。初めはスローな足並みだったが、次第にペースアップ。「おりゃ~」や「よっしゃ~」の掛け声とともに、高ぶる感情を積雪で真っ白になったグラウンドで表した。桜井将貴主将(2年)は「意識しました。でも選ばれてホッとしています」と会心の笑顔をみせた。

 はしゃぐナインを横目に関口監督は終始、表情を変えなかった。選手、学生トレーナー(東北福祉大1年時)、コーチ、部長として聖地で喫した過去7度の敗戦をすべて味わった。初勝利へのあこがれは、誰よりも強い。「責任感を感じるが、どんな高校よりも価値ある1勝目になる」。監督として初めての甲子園で、最高の白星を狙っている。

 積み重ねた黒星を無駄にはしない。センバツ初出場の03年は、成瀬(ロッテ)擁する横浜(神奈川)に0-10と大敗。当時コーチだった関口監督は「実戦準備が足りなかった」と振り返る。その教訓を生かし、2月24日から福島・いわき合宿を予定。また「ウレタンボール」と呼ばれる水分を吸収しない球で、雪上での打撃練習も行っている。室内練習場はないが「温室栽培じゃなく自然の力で勝とう」がモットーだ。

 岩手県勢の3年連続センバツ出場は初めて。特に、昨年の花巻東の活躍を意識せずにはいられない。「花巻東の準優勝を抜けるかは分からないが、試合内容で負けたくない」と桜井主将。念願の初勝利から始まる“続・岩手旋風”を誓った。【湯浅知彦】