<高校野球岩手大会>◇17日◇2回戦

 東北で初めて高校生審判が高校野球をジャッジした。花巻農-大迫戦で二塁塁審を務めたのは盛岡三・遠藤駿さん(3年)。若さあふれる機敏な動きでスムーズな進行に貢献した。少年野球、中学・高校・大学・一般の軟式野球を184試合、経験してきたが高校の硬式は初めて。「9回でやっと緊張が取れました」と笑った。公式戦で高校生がフルに審判を務めるのは全国でも珍しい。

 小学時代から審判に興味があった。サッカーをやっていた遠藤さん。父が買ってくれたルールブックが楽しくてしょうがなかった。上田中時代は野球部。練習試合での審判を自ら買って出た。盛岡三では1度野球部に入部したが「審判に専念したい」と退部、盛岡市野球協会の門をたたいた。

 「毎日、審判のことに触れるようにしてます」。30リットルの登山用リュックに教科書をいっぱいに詰め込み(重さ15キロ~20キロ)、登下校の約20分を歩き体力を付ける。家では鏡の前でジェスチャーの練習をする。

 高いプロ意識からか盛岡三野球部には「審判としては何も言えない」と公平な立場を強調したが、直後に「三高生としては言えます。頑張ってほしい」と本音も。将来は?の問いに「大きな声では公言できないけど…」と答え、プロ野球審判へのあこがれをちらりと見せた。【三須一紀】