生まれ変わったら、高校球児になりたい-。第92回全国高校野球選手権が、7日に開幕する。番組開始30回目の夏を迎える「熱闘甲子園」(7日から平日午後11時10分、土日同11時開始、テレビ朝日系)のキャスターで、甲子園取材12回目の長島三奈さん(42)に、今大会の見どころ、高校野球への思いなどを熱く語ってもらった。大会期間中は日刊スポーツで三奈さんがピックアップした注目カード、注目校、イチ押し君などを掲載していきます。(聞き手・前田祐輔)

 -いよいよ開幕です

 三奈

 1年で一番大好きな15日間です。決勝が終わるとまた350日待たないといけない悲しさと闘いつつ。センバツの開会式の日を私は元旦と呼んでいるんですけど、ようやくこの前2010年が始まって、甲子園の決勝が私の大みそかって感じで、1年間があっという間に終わっちゃうんです。短いんですよ、私の1年は。

 -今年の地方大会は

 三奈

 沖縄と、関東は西東京、神奈川、それに愛媛、新潟…関東の人間なのにほとんど関東に行けなくて。

 -注目校は

 三奈

 甲子園って不思議で、一昨年の佐賀北とか試合ごとにうまくなる。前評判とかじゃ分からない。しいて言うなら49校が私の注目校ですね

 -興南が春夏連覇を目指します

 三奈

 島袋君ってすごいまじめな子でびっくりしました。他の選手もみんなまじめで。センバツ優勝した次の日に選手だけで集まって、キャプテンの我如古君が、おれたち日本一になったけど、それ今日から忘れるから。一からやっていくからって。びしって言ったら、みんな、よし!

 みたいな感じで、誰もエ~とか言わない。県大会で優勝した時も、誰もマウンドに集まらなくて。私、それがびっくりしたんですよ。普通ワーとかやるじゃないですか。通過点というか、気持ちが強い。あるかもしれないですね、連覇も。

 -横浜が春夏連覇した98年に初めて番組を担当した

 三奈

 松坂君は体が細くておとなしい感じだったんですけど、甲子園でインタビューしていくと、最初は記者さんに囲まれて下を向いて話していたのが、だんだん目線が上がってきて。最後の方は、みんなの顔を正面から見て、堂々と話すようになったりして。あ~高校生って変わっていくんだなって、感じましたね。

 -甲子園取材では、よく控え選手と話をしている

 三奈

 端っこの方でモジモジしてる子に、ちょっと話そうよ、みたいな感じ。楽しいですよ。逆にエースの素顔が垣間見えたり。エースとか4番の子だけじゃない、別のヒーローも探すのが好きなんです。

 -番組が30周年を迎えた

 三奈

 最初に取材した子たちが、30歳の大台に乗った記念の年なんです。私が30歳で、ちょうど一回り下の子たちだったんで。新垣君とか杉内君(ともにソフトバンク)とか、みんな18歳で。三奈さん何歳になったんですかとか、わざと聞いてくるんですよ。知ってるのに。みんなパパになって…。感慨深いですね。プロに行った子だけじゃなくて、大学とかもよく見に行きます。幸せですね。あの子たちのおかげで、楽しい老後が過ごせそう(笑い)。

 -高校野球とのつながりは年々深くなる

 三奈

 いくら応援しているチームと甲子園を目指そうって言っても、1度味わわないと、どんな気持ちか分からない。生まれ変わったら高校球児になって、甲子園に行けなくてもいいから、目指したいんです。

 -12年間、地方大会から見続けている

 三奈

 最近は甲子園で泣いてる選手は、口には出さないですけど、甲子園で泣けるんだからいいよねって、気持ちになる。ここに来て野球ができる、喜べる、泣けるって、奇跡みたいだと思うんです。100回大会、100校出場ってないですかね。1県2校ずつぐらいでね。怒られちゃいますね。

 -お父様(巨人長嶋終身名誉監督)と甲子園の話は

 三奈

 決勝戦は絶対毎年見ていますね。父は甲子園行けなくて、自分が負けた年はラジオも一切聞かなかったとか言っていて。絶対に思い出したくなかったって。でも74歳になって、すごい楽しく甲子園とか見ていると、やっぱり野球ってすごいな~って思います。甲子園行けなくてプロで監督になって、今は辞めましたけど、やっぱり野球で甲子園っていうと、熱くなるものがあるんでしょうね、父も。