第83回選抜高校野球大会に出場している東北(宮城)が、被災地への「恩返しプラン」を検討していることが25日、分かった。兵庫・鳴尾浜臨海球場で練習を行った河西利明部長(44)によると、前夜に卒業生の女子プロゴルフの有村智恵(23)からゼリー飲料が届いた。これまでも、ヤクルト雄平外野手(26)から同社のスポーツ飲料が送られるなど、大阪市の宿舎には差し入れが殺到している。これを大会後、避難所などに届ける計画が浮上した。

 届いている物品は500ミリリットルのミネラル水50ケース(24本入り)以上を筆頭にスポーツ飲料、菓子など「宿舎の空き部屋を1部屋、保管専用に使っているほど。バスで運んだら底が抜けるかも」(河西部長)という量になっている。19日まで被災した仙台にとどまって物資不足の現状を知るナインは、これらを使い切るつもりがない。大会後、トラックを借り地元に運んだ上で「自分たちだけ、いただくわけにはいかない」と同部長は考えを明かした。

 候補地は地元宮城県。同校がある仙台市をはじめ、被害が甚大な気仙沼市や東松島市、石巻市などが挙がっており、支援活動と並行し、ナインが避難所などを訪問する案を考えている。

 宿舎には食料品のほか、練習試合を行う予定だった太成学院大高(大阪)の全部員67人や応援者から激励の手紙が届くなど、感謝は尽きない。ただ、今は大会6日目第1試合(28日午前9時予定)の大垣日大(岐阜)戦に向け、野球に集中している。【木下淳】