<センバツ高校野球:鹿児島実5-3浦和学院>◇27日◇1回戦

 鹿児島実(鹿児島)の春夏通算30勝目を決めたのは「恐怖の5番打者」揚村だった。1点ビハインドの5回、逆転2点タイムリーで勝利を引き寄せた。

 お膳立てはそろっていた。5回無死一、二塁で4番浜田が犠打を敢行。失策を誘い、満塁となった。初球の直球をファウルにした後、2球目の緩いカーブを振り抜き、鋭い打球が三遊間を抜けた。

 「浜田を裏切らないように自分が決めるしかないと思った」

 昨夏の甲子園も5番で11打数6安打。2度目の大舞台でまたまた勝負強さを発揮した。「揚村が打てばチームは乗る。笑ったらかわいいしムードメーカーですよ」と宮下正一監督(38)は揚村効果を認める。

 苦しい冬を乗り越えた。昨秋まで体重95キロだったが明治神宮大会後、宮下監督から「5~6キロやせないとメンバーから外す」と言われた。つらいダイエット生活。食べるのが大好きな食いしん坊が、1日3食で9杯食べていたご飯を毎食1杯に減らした。

 「ずっと起きていたらおなかがすくので、早く寝たりしました」

 努力の結果、10キロの減量に成功。ユニホームのベルトの穴は7個も縮まった。パワーは落ちたが体にキレが出て苦手な内角球も打てるようになった。「我慢して良かったです」。やせて夏より少したくましくなった顔をほころばせた。

 この勝利で九州勢4校が2回戦へそろい踏みだ。「九州大会優勝チームとして一番先に負けるわけにはいかなかった」と宮下監督。センバツは96年の初優勝から6連勝中。2度目の頂点までまだまだ連勝を積み重ねていく。【前田泰子】