<センバツ高校野球:東海大相模16-2履正社>◇2日◇準決勝

 東海大相模(神奈川)が、春夏通じ甲子園で史上初となる1試合2本の満塁本塁打などで16点を奪い、11年ぶりの決勝進出を決めた。4回に森下翔平内野手(2年)、7回には田中俊太内野手(3年)が満塁の好機に1発を放った。昨夏に続く2季連続の決勝で、11年ぶりのセンバツ優勝を狙う。

 鳴り響く快音が止まらない。4点リードの4回表2死満塁。今大会全試合にスタメン出場している唯一の2年生、6番森下が、真ん中136キロの直球を振り抜く。ゆっくり弧を描いた打球は、左翼ポール横の前列席にポトリと落ちた。

 さらに7回に再び訪れた、2死満塁のチャンス。今度は3番田中がとらえた126キロの変化球は右翼スタンドに突き刺さった。1試合で満塁弾2発は、春夏通じて甲子園史上初という快挙だった。

 門馬敬治監督(41)は「みんながつないでくれたから。本塁打は結果にすぎない」と話す。先発全員安打の21安打16点。1回戦から全4試合で60安打40点と、驚異的な数字をマークした。4番佐藤は、OB巨人原監督が4大会通算で記録した10打点に1大会で並んだ。11安打の臼田も、個人大会通算最多安打にあと2本と迫っている。

 特別な練習をしているわけではない。門馬監督から受けた、(1)センターから逆方向(2)ライナー性の低い打球を、という指示を全員が徹底してきた。加えて選手たちが、多くて1日1000スイングなどの自主練習をこなしている。

 公式戦初ホーマーの森下は「あたった感触が全然ない。軽かった」。第2回WBCの決勝戦で決勝打を放ったイチローにあこがれ、自らも大舞台の甲子園で1発打つことを夢としてきた。秋の関東大会までベンチにも入れなかった努力家は「(イチローは)大舞台で打てるのがすごい。ぼくのはたまたまです」と、はにかんだ。

 昨夏もレギュラーだった田中も、先制打を含む4安打6打点と気を吐いた。原監督より2学年下の父正行さんが77年夏、兄広輔さん(東海大4年)が06年春に同校から甲子園出場。「兄貴のプレーする姿が、かっこよかった」。同じ内野手の兄の背中を追い、自然とタテジマの門をたたいていた。準々決勝まで内野安打2本だったが復調し「ここまで来たら最後まで勝ちます」と記念球を握り締めた。

 この勝利で、神奈川県勢はセンバツ70勝を達成。準優勝だった夏に続き、東海大相模が再び「日本一」への挑戦権を得た。【鎌田良美】