<高校野球秋季東北大会:花巻東2-1学法福島>◇準々決勝◇10日◇秋田・こまちスタジアム

 左足付け根を負傷していた花巻東(岩手)の大谷翔平(2年)が夏の甲子園後、初先発した。学法福島戦に3番左翼で出場。2-1でサヨナラ勝ちした。今日11日、センバツ当確をかけて光星学院(青森)と激突する。

 大黒柱が、ずっしり通った。大谷が「投球以外は100%の力が出せる」状態で復活。久々の先発が1点を追う展開で「焦りと力みがあった」と第3打席まで凡退したが、3回2死一、二塁の第2打席(二ゴロ)は全力疾走で併殺を回避。8回には右前打でチームを鼓舞。サヨナラ勝ちの流れをつくり「ずっと試合に出られず悔しかったけど、スタンドにいる仲間の分まで頑張った。素直にうれしい」と振り返った。

 当初は準決勝で先発予定だった。だが、佐々木洋監督(36)が「学法福島からは簡単に点が取れない」と前夜に決断。昨秋の東北大会の反省もあった。勝てば光星学院と当たる学法福島戦で敗れ「去年は『次は光星だ』と意識して負けた」と大谷。今年、目の前の試合に全力を尽くす意思の表れが、大谷の先発だった。

 思い出のバットで安打を放った。第3打席まで、1年の時から公式戦で愛用している銀色バットを使用。第4打席は黒のバットに変えた。これは、最後に先発した8月7日の甲子園1回戦(対帝京)で使ったもの。約2カ月前のイメージを持ちながら、復活ののろしを上げた。

 次は田村率いる光星学院と相対する。骨端線離開の治療は継続中だが「出るからには勝利に貢献しなければ」と大谷。来年のドラフト候補2人が、センバツ出場に大きく前進する決勝切符を奪い合う。【木下淳】