第84回選抜高校野球(21日開幕)に出場する聖光学院(福島)が、組み合わせ抽選会から一夜明けた16日、1回戦鳥羽(京都)戦に向けて対策を行った。この日、大会屈指の機動力を誇る相手を想定し、急きょ加古川北(兵庫)との練習試合を敢行。大勝(8-0)した中、投手陣も巧みなけん制で走者を刺すなど、初戦突破に向けて収穫があった。

 出場3回目でのセンバツ初勝利に向け、斎藤智也監督(48)の動きは早かった。「機動力が良いと聞いている。それで加古川北さんとの試合を組んだ。走塁では兵庫で3本の指に入るイメージ。仮想・鳥羽」と抽選会終了後にマッチメーク。1試合平均盗塁数で、出場32校中2位(3・03)の相手を想定した試合で、確かな手応えをつかんだ。

 指揮官の思いに、選手も呼応した。「動いてくれて良かった」(斎藤監督)中、6回から登板した右腕エース岡野祐一郎(3年)は9回、死球で出した一塁走者をけん制球で刺した。クイックで走者をベースにくぎ付けにし「監督からも言われてたし、意識してできたと思う」。先発の左腕、飯高星哉(3年)も「得意ではない」と言いつつ、けん制死を記録した。指揮官が絶大な信頼を置く長井涼捕手(3年)も「相手をイメージして、よくできたと思う」とうなずいた。

 打線は14安打。そつがない内容に、敵将も脱帽した。加古川北は、前日15日に鳥羽と練習試合をして10-6で勝利している。福村順一監督(39)は「スキがない。鳥羽も走れないんじゃないか。鳥羽よりも順調だと思う」と太鼓判を押した。鳥羽の右腕エース五味拓真(3年)の直球は130キロ台中盤。「それより少し速い」(福村監督)右腕から、聖光打線は5点を奪った。

 斎藤監督が「過去の2回とは、比にならない仕上がりと自信を持って言える」と話す今チーム。万全の態勢で、初戦突破に挑む。【今井恵太】