<春季高校野球岩手大会:花巻東7-0大東>◇24日◇1回戦◇花巻球場

 今秋ドラフトの超目玉、花巻東・大谷翔平投手(3年)の前に、超異例の守備陣形が敷かれた。4回の先頭で打席に入り、1球目が投じられた後だった。次打者の4番太田知将内野手(3年)が異変に気付いて、審判にアピール。「『サードがいないですよ』と言ったら探し始めて…。そしたら外野にいると」。大東の三塁手が外野に回り、左翼、左中間、右中間、右翼と4人が並んでいた。

 「翔平、何するのかな」(太田)という周囲の期待が集まる中、大谷はハーフスイング気味に無人の三塁へ転がして悠々一塁へ(記録は遊撃への内野安打)。「走り打ちした感じです。後ろにつなげたかったので良かった」と“技あり”の一打を振り返った。大東の小山智之監督(45)は「上を越されなければ、単打で止められないかと思って」と「大谷シフト」の意図を説明。大谷は第4打席で二ゴロに終わるまで、今春は9打数9安打3本塁打(全11打席で出塁)と打ちまくっている。今後、ライバル校が怪物にどんな対策を講じていくかにも注目が集まる。

 ☆過去の主な変則シフト☆

 

 ◆王シフト

 64年の広島が王貞治(当時巨人)に対し遊撃手を二塁より右にするなど内、外野手を大きく右に移動。72年の阪急は日本シリーズで、遊撃手を中堅の位置に入れて外野を4人にした。

 ◆内野5人態勢

 広島のブラウン監督(当時)は、どうしても三塁走者をかえしたくない場面で、外野手の1人を二塁塁上に置く陣形を取った。