<春季高校野球北海道大会:女満別5-1鵡川>◇28日◇1回戦◇札幌円山

 21世紀枠で今春の甲子園に出場した女満別が、02年の21世紀枠代表校、鵡川を下した。エース二階堂誠治投手(3年)が変化球中心に、地区4本塁打の強力打線から12奪三振で、1失点に抑えた。甲子園の経験から学んだ緩急を使う投球術で、春の全道初勝利につなげた。

 春の円山で勝った喜びが思わず声になった。最後の打者をスライダーで三振に取ると、女満別の二階堂が珍しく「よっしゃー」と大声を響かせた。「最後はすごくうれしかったので叫んでしまいました」。試合後、照れ笑いを浮かべたが、12奪三振で堂々の1失点完投勝利だった。

 最速145キロを誇り、昨年までは力で押したが、この日は違った。初回、1球目の速球を左越え二塁打にされると、すぐに頭を切り替えた。センバツ後に本格的に使い始めたカーブ、フォークボールに、スライダーで相手打線の目先を変えていった。初回に中犠飛で1点を許したが、2回以降はゼロを並べた。

 二階堂は「初球の直球を持って行かれたので、変化球を多く使いました。後半は調子も上がって来ました」と振り返った。速球主体の本格派だが、状況によっては速球に頼らず緩急を取り入れる。これこそが、九州学院に0-6で初戦負けした春甲子園で学んだこと。力ではなく、技で鵡川打線を抑えられたのが大きな収穫だった。

 鈴木収監督(43)は「(二階堂は)もっと打たれると思っていましたが、ていねいに良く投げました。やはり甲子園の経験というのは大きい。言葉で言って分かるものではない。そこで本人が肌で感じて自分で考えて身につくものです」と、甲子園での敗戦を糧に成長した大黒柱を褒めた。

 カーブもフォークボールもまだ発展途上で、春夏連続甲子園出場を目指す夏に向け、今大会でさらに磨きをかける意気込みだ。「北海とやって玉熊君に勝ちたい」。昨秋の2回戦(0-4)で敗れた相手との再戦を熱望する二階堂。室蘭地区チャンピオンを下して待望の春全道1勝をつかんだが、挑戦はまだまだ続く。【中尾猛】