<高校野球秋田大会:能代3-0秋田修英>◇18日◇2回戦◇秋田県立

 秋田に将来性豊かな1年生左腕が現れた。能代の堀内健人投手は秋田修英相手に6回無安打無失点。2四球と失策で許した走者に三塁すら踏ませぬ圧巻の投球を披露した。7回頭に降板し、大記録はお預けとなったが、今後も注目を集めそうだ。

 1年生らしからぬ堂々たる投球で相手打線をなぎ倒した。能代・堀内の武器は鋭く曲がるスライダー。初回の先頭打者に四球を与えたが、2死から3者連続空振り三振に仕留めた。その後はつけいるスキなし。走者を背負っても自分のタイミングで投げ続ける落ち着きようで、三塁すら踏ませなかった。気が付けば、1安打も許さぬまま6回を終了。「自分でも(無安打は)分かっていました」と大記録を意識していた。

 だが7回のマウンドに立っていたのは戸松洸介投手(2年)だった。伊藤康夫監督(46)は、継投の意図について「7~9回は経験のある選手でいきたかった」と説明。ゴールデンルーキーは強烈な印象だけを残して降板した。

 2回戦で先発投手を任されることは、大会前の7月上旬には告げられていた。伊藤監督から「1年生だと思ったら夏の先発マウンドは怖くて任せられない。でも堀内は1年生だと思っていませんので」と大きな期待を込められ、大舞台に立った。6回無安打無失点。文句のつけようもない。

 青森・岩崎中では、エースとしてチームを県準優勝に導いた。「(県内の強豪)光星学院や青森山田からは声が掛からなかったです。でも進学もしたいので」と文武両道の環境を求め、能代に越境留学。能代市内で下宿生活を送っている。家族とは離れ離れだが、たまに訪れる母美奈子さん特製のジャンボおにぎりで英気を養っている。「1個作るのに1合分の米を使うのでものすごく大きいです」と16歳らしく、さわやかな笑顔を浮かべていた。勝利投手にはなったが、無安打無得点は逃した。「でもチャンスはまたあると思うので」。多くの好左腕が生まれた秋田で新たなスターになるかもしれない。【湯浅知彦】

 ◆堀内健人(ほりうち・けんと)1996年(平8)4月28日生まれ、青森・深浦町出身。いわさき小4年から「いわさき小クラブ」で野球を始める。岩崎中では県準優勝を経験。今春、能代に入学と同時にベンチ入り。投手一筋。球種は120キロ台後半の直球、スライダー、カーブ。家族は両親、姉2人。好きな選手は巨人杉内。174センチ、64キロ。左投げ左打ち。血液型A。