<高校野球IBAF18U世界選手権:日本4-2韓国>◇6日◇予選第2ラウンド◇韓国・木洞

 志願の連投で、優勝に望みをつないだ。敗れた方が優勝争いから脱落する韓国戦で、藤浪晋太郎投手(3年=大阪桐蔭)が6安打2失点6奪三振の完投勝利を飾った。前日5日のコロンビア戦で100球を投げていたが、6、7回に151キロをマークするなど疲労を感じさせない力投。完全アウェーの地で底力を見せた。今日7日に台湾がコロンビアに勝ち、日本が米国を下した場合、日本の決勝進出が決まる。

 前日に敗戦投手となった責任感が、藤浪を奮い立たせた。2点を返された7回2死満塁。初球からこの日最速タイの151キロ、150キロで2ストライクに追い込み、最後は三ゴロ。全力で追撃を抑えた。「昨日自分が打たれて負けてしまったので。今日はどうしても勝ちたかった」。9回最後の打者を遊ゴロに仕留めると、右拳を突き出した。

 志願の連投だった。5日のコロンビア戦は5回3失点でKO。この敗戦で、韓国に負ければ即優勝争いから脱落という窮地に立たされた。前夜のミーティングで小倉全由監督(55)に「いけるか?」と問われ、「投げたいです」と即答。韓国は1、3番にドラフト1位指名選手を置く強力打線だ。「あの内容じゃ、全然継投は考えませんでした」という小倉監督の全幅の信頼に、127球で応えた。

 連投が肌に合っている。登板がない日も、毎日自主的にブルペンに入った。「前の日の感覚を残してマウンドに上がる方がいいんです。打者との微妙な感覚があるので。あまり疲れは出ません」と、甲子園連覇投手らしい鉄腕ぶりを発揮。今秋ドラフトで1位指名が決定的な阪神佐野統括スカウトも「連投の中でしっかり自分の投球ができる。大きい大会でも自信を持って投げている」と心身両方のタフさを評価した。

 完全アウェーもお構いなしだった。負ければ優勝が消えるのは、韓国も同じ。三塁側スタンドは、太鼓や笛にチアガールと異様な盛り上がりを見せた。前日の地元紙には「日本が圧縮バットを使用している」との韓国側の主張が報道され、周囲は過熱ムード。それでも藤浪は「投げてる時は大音量も耳に入らない」と意に介さない。昼食には、渡韓した両親から差し入れられた日本のカップ焼きそばを食べ、マイペースを維持した。

 今日7日に台湾がコロンビアに勝ち、日本が米国に勝てば、8日の優勝決定戦へ進出できる。小倉監督は藤浪の起用法について「抑えも…よく相談します」とリリーフ登板を示唆した。「もちろん明日でも投げられる状態です」と藤浪。3連投、4連投も辞さない日本のエースが、調子を上げてきた。【鎌田良美】