<秋季高校野球東北大会:仙台育英10-1酒田南>◇8日◇準決勝◇福島県営あづま

 仙台育英(宮城1位)は主将で4番の上林誠知外野手(2年)が2試合連発の3ランを放つなど酒田南(山形1位)に、7回コールドで大勝。2季連続、春は6年ぶり10度目の甲子園が当確となった。春と同カードの決勝は今日9日、行われる。

 クールな主将の表情が、一気に緩んだ。7-0と押せ押せムードの7回無死二、三塁。上林の打球は100メートル先の右翼スタンド最上段で弾み、場外へ消えていった。6年ぶりの「センバツ当確」に花を添える、推定飛距離135メートルの特大弾。準々決勝青森山田戦で放った決勝2ランに続く2試合連続の1発に「今日も良いとこ取りですね。今までで一番デカい当たりでした」と喜んだ。

 今夏の甲子園では、現メンバーで唯一レギュラーだった。黙々と自分のプレーに徹するタイプ。新主将に立候補したことに驚くチームメートもいたが「自分がやるしかない」と覚悟を決めた。宿舎では率先して仲間の分の洗濯もするなど、自覚をもってチームを束ねている。

 昨秋から4番を任され、来秋のドラフト候補にも挙げられる。「上林に迷惑をかけてるぞ」と気を使う周囲には「オレのことは気にするな」と声をかけてきた。上林自身、相手の厳しいマークにいら立つこともあったが「チームが勝てればいい。気にしなくなった」。5番水間俊樹内野手(2年)は「上林の後でアウトになってばかりでプレッシャーがあった」と、6回に先制の2点適時打を放って意地を見せた。上林が岐阜国体でチームを離れている間は「いなくても、これだけできるってのを見せようぜ」と全員で練習に打ち込み、大事な試合にコールドで大勝した。

 決勝の相手は、10年春、今春の東北大会で敗れている聖光学院。しかし、福島市での東北大会は00年秋、06年と制している相性の良さもある。上林は「ここで勝ちたい。自分が打てばチームが盛り上がる」。頼れる主将を先頭に、因縁の相手に立ち向かう。【今井恵太】