プロ注目右腕撃ち!

 第85回選抜高校野球大会(22日開幕、甲子園)に出場する北照(北海道)は13日、浜松市営球場で聖隷クリストファー(静岡)と練習試合を行い、9-0で下した。5回に吉田雄人中堅手(3年)の左前打を皮切りに、3長短打で4得点。プロが注目する最速143キロ右腕、鈴木翔太(3年)を一気に攻略し、好投手ひしめく甲子園に向け弾みをつけた。今日14日、チーム本隊は一時、帰道する。21世紀枠で初出場の遠軽は、知事表敬訪問の後、大阪入りした。

 北照打線が好投手を最後に攻略した。糸口をつくったのは1番打者の吉田だ。5回、初球の直球を狙い澄まして左前にはじいた。この快打から、高山の左前2点適時打などで4得点。それまで無得点に抑えられていた打線もつながった。1、3回にも内野安打を放っており、突破口は3安打の主将だった。

 吉田は「3打席目は直球もそれほど速く感じませんでした。塁に出るのが1番打者の仕事ですから」と淡々と振り返った。4失点で予定通り5回で降板した鈴木翔は「出来自体はベストの5、6割でしたが(吉田選手は)どこに投げてもバットが出てくる」とお手上げだった。

 合計14安打の猛攻で昨夏の静岡大会4強の好チームを下した。しかも、その夏に44回2/3で3失点だった右腕から4点をもぎ取った。それでも河上敬也監督(53)は不満顔で「甲子園ではもっといい投手と当たるかもしれない。各打者が好投手を攻略するための工夫が見えなかった」と辛口コメント。4回までのチャンスに3、4番の主軸に1本が出なかったことを課題に挙げた。

 4打数2安打3打点と活躍した高山大輔右翼手(3年)は「(5回は)低めの変化球をたたきました。いい投手から2本打て自信になります」と笑顔を見せた。あす15日の組み合わせ抽選会などに出席する監督、主将らを残し、チームは今日14日の練習試合後、いったん帰道する。16日に大阪入りし、再び練習試合を重ねることになるが、この日の怪腕との対戦、勝利は価値のあるものだった。【中尾猛】