<センバツ高校野球:浦和学院10-0北照>◇3月31日◇準々決勝

 エースが投げて、4番が打つ。3季連続関東大会を制した浦和学院(埼玉)が、横綱相撲で北照(北海道)を破り、92年以来21年ぶりの4強進出を決めた。先発の小島和哉投手(2年)が7回1安打無失点で今大会24イニング1失点とすると、1回には4番高田涼太内野手(3年)が2試合連続の先制2ランを放った。

 今日も映画「ロッキー」のテーマに乗って浦和学院が甲子園にやってきた。朝のバスの車中、闘魂テーマソングをBGMに先発メンバー発表を終えると、一気にボリュームアップ。チューブの「傷だらけのhero」、「WE

 WILL

 ROCK

 YOU」…と森士(おさむ)監督(48)好みの懐メロが続き、テンション上げて聖地に到着だ。

 毎試合行う“伝統行事”で先発の指名を受けたのは、もちろんエース小島。右打者の内角を直球で攻め、スクリュー、スライダーを低めに集める。過去2試合は抜け球が目立ったが、ベストピッチを披露。「でき過ぎぐらい良かったです」と、手応えがあった。

 4回1死二塁のピンチでは、北照のキーマン3番吉田を、追い込んでから低めスクリューで3球三振に切った。わずか81球と、勝負の準決勝、決勝へ余力は十分だ。

 175センチと小柄だが「全然疲れてない」と言う。今大会24イニングで1失点。タイヤ引きに走り込みで体力を蓄え、学業も野球部メンバーが在籍するコースで、学年1位の成績を残す。評定は9科目5段階評価で「42」。4が3つで、あとはすべて満点5。「理科と英語が得意なんです」(母美和子さん=52)。連日宿舎近くの温泉施設に通い、疲れを取り除いてきた。

 凡ミスを帳消しにしてもらった。5回には三塁走者として、スクイズのサインを見落とした。1死二、三塁から飛び出し、アウトになった。「公式戦でやってはいけない」と猛省するが、直後に3年生の贄(にえ)が適時三塁打を放った。上級生も、2年生エースをカバーするために集中力を切らさない。

 21年前、森監督は就任1年目だった。以降、春夏通じて4強の壁を越えたことはない。小島は上尾(埼玉)の4番だった兄の試合を観戦した時、相手校だった強い浦和学院に憧れて入学した。大本命の大阪桐蔭はもういない。みんなの夢は、小柄な左腕に懸かっている。【前田祐輔】

 ◆小島和哉(おじま・かずや)1996年(平8)7月7日、愛知県生まれ。父の仕事の都合で愛知、広島、埼玉と移り住む。兄雅浩さんの影響で小2から野球を始め、中学では行田シニアで全国大会に出場。浦和学院では1年夏からベンチ入りし、昨夏の甲子園3回戦の天理戦に2番手で登板した。目標にする投手は巨人杉内。175センチ、72キロ。左投げ左打ち。

 ◆1安打完封リレー

 浦和学院が記録。継投の1安打完封は、07年に大阪桐蔭が中田-福島-那賀の3投手で日本文理を1安打に抑えて以来、大会5度目。