<高校野球新潟大会:日本文理3-2中越>◇24日◇準々決勝◇ハードオフ新潟

 第1シードの日本文理は、5安打2失点で完投したエース飯塚悟史投手(3年)が、中越相手に13個の三振を奪った。

 ニコリともしなかった。最後の打者を右飛に打ち取ると、13個の三振を奪った飯塚は淡々とホームへ向かった。「三振にこだわらない。しっかり腕を振って投げられた。自分の投球がどうこうよりは、勝つことができてうれしい」。前の試合で4本塁打を放っていた中越打線相手に、9回5安打2失点で投げきった。

 ギアを一気に上げた。4回に4安打を浴び2点を許すと、5回以降、毎回の9奪三振、被安打1の投球で勝ちを引き寄せた。「4回は外角の直球を持っていかれたので5回からは配球を変えた」。この日最速140キロの直球を見せ球にし、変化球主体に組み替えた。決め球に据えたスライダーがさえ、13個中11個の三振を空振りで奪った。尻上がりに調子を上げ、8回にも140キロを2球計測した。

 課題を修正した。新チーム結成以降、公式戦で喫した2敗は、いずれも飯塚が最終回に点を許していた。新潟との今大会初戦でも、9回に連打を浴び1点を奪われた。この日の最終回は連続三振を含む3者凡退。「3人で抑えられたのは大きい」と手応えをつかんだ。

 「勝てる投手」を目指した。昨夏までの飯塚は腕を目いっぱい振って三振も取るが、四球も多かった。甲子園初戦敗退後にフォーム改造に取り組んだ。大きかったテークバックをコンパクトにし、縦振りだった腕の振りをやや下げて制球の安定を図った。冬の間はマエケン体操で肩甲骨を柔らかくし、今春のセンバツでフォームが固まった。

 「今まで四球が多かった。球速にも三振もこだわりがない。今はただ勝ちたい」。昨夏は29回で与四死球21だったのが、今大会は22回を投げ3四球と制球が安定。連投を意識し球数を減らすため、全力ではなく力を抑えて投げ、勝負どころでアクセルを踏み込む「ギアチェンジ投法」を完成させた。

 新潟の頂点まであと2勝。「仲間を甲子園に連れて行きたい」。飯塚の右腕で3季連続の甲子園をつかみ取る。【高橋洋平】

 ◆日本文理新チーム結成後の公式戦敗戦

 昨秋の明治神宮大会決勝で、沖縄尚学相手に7回まで8-0とリードしていたが、7、8回に飯塚が9失点し逆転負け。今春センバツの豊川(愛知)との1回戦では、2度のリードを追いつかれ、延長13回に飯塚がつかまり3-4でサヨナラ負け。