<高校野球奈良大会:天理4-0畝傍>◇27日◇準決勝◇佐藤薬品スタジアム

 天理の左腕・信田悠輔投手(3年)が1安打完封の好投で聖地へ王手をかけた。7回2/3までノーヒットノーラン。畝傍の代打伊藤稜(3年)に左翼へ運ばれて快挙はならなかったが、許した安打はその1本のみ。「ノーヒットノーランを意識し始めたのは7回ぐらい。打たれても『次のバッター』と思ってました」。1安打完封は「人生で初めて」と話すが、公式戦で9回を投げきったこともなかった。

 今大会はここまで17回2/3を無失点。急成長を続けるには秘密があった。今年2月、元近鉄、ダイエーで活躍した山崎慎太郎氏が臨時ピッチングコーチに就任。これまで、投球に関して自己流だったが、山崎コーチに「肩が開いて、腕が遅れて出てくる」と注意された。「それからフォームを意識し始めた」。練習後に、ベストフォームを考えながらシャドーピッチングを続けた。山崎コーチも「言ったことをやり続けてくれるし、吸収が早い」とうなずいた。2年ぶりの聖地を目指す強豪を、背番号11の成長が支えていた。

 決戦の相手は、昨秋、今春と県王者でセンバツにも出場した智弁学園。主砲・岡本和真内野手(3年)は「インコースを投げても打ってくる」と警戒する。頼れる左腕が頂点を目指し、1球を投げ込む。【小杉舞】

 ◆信田悠輔(のぶた・ゆうすけ)1997年(平9)3月30日、天理市生まれ。天理小2年から「天理小コスモ」で投手として野球を始める。天理中では軟式野球部に所属。天理では、1年秋からベンチ入り。50メートル6秒3。遠投85メートル。好きな選手は巨人杉内。172センチ、67キロ。左投げ左打ち。