04年のセンバツ優勝校、済美高(松山市)野球部1年生部員が、2年生部員からカメムシを食べさせられたり、殴られたりしたとの被害を訴えていることが9日、学校への取材で分かった。学校側はいじめの可能性があるとみて調査を開始。ほかにも問題行動がなかったか、部員に聞き取り調査を続けている。同校には、今秋のドラフトで注目されている最速157キロ右腕安楽智大投手(3年)も在籍している。

 強豪野球部で、いじめ問題が浮上した。済美高によると、7日に外部から野球部内のいじめについての問い合わせがあったという。1年生部員が2年生部員から、カメムシを食べさせられたり、殴られたり、灯油を飲まされそうになるいじめが起きているという内容だった。

 学校側は7日、監督、部長、コーチに事実関係を確認。部員の保護者が今月初旬、監督に同じような内容の相談をしていたことが判明した。翌8日には1~2年生の部員に聞き取り調査を実施。1年生が被害を訴えたという。

 学校側は聞き取り調査などから、野球部内でカメムシを食べさせるなどのいじめが行われていた可能性があるとみて、県高校野球連盟に口頭で連絡。詳しい状況を調査している。調査が終わり次第、正式に文書で報告するという。

 済美高野球部は今夏は県大会で敗退。3年生は引退し、現在は新チームが活動している。今回判明した事案の発生時期や関与した部員、被害を受けた部員の人数について、学校側は「調査中」とした。必要があれば、3年生部員にも聞き取り調査を行うという。

 日本高野連の竹中雅彦事務局長は「8日に愛媛県高野連から口頭で報告を受けた。どれだけの部員が、どの期間に関与したのかなどについて、報告を求めている」と話した。

 昆虫研究者によると、カメムシは外敵に襲われたり、刺激を受けたりした時などに、胴体部分から臭い液体を霧状に噴射する。液体の成分は虫の種類によって変わるが、皮膚の弱い人では「この液体でかぶれるなどの炎症が起こる」という。タイなど、カメムシの仲間のタガメを食用にする国もあるが、この研究者は「国内のカメムシを生で食べていいとは言いにくい」と指摘している。

 ◆済美高校

 1901年(明34)創立の私立校。野球部は2002年創部。部員数68人。甲子園には春2度、夏4度出場。春夏通じて初出場だった04年春に優勝し、同年夏に準優勝。13年春も準優勝。主なOBは日本ハム鵜久森淳志、広島福井優也ら。愛媛県松山市湊町に所在。野沢善浩校長。

 ◆カメムシ

 国内の昆虫約3万種のうち、カメムシ目は約3000種を占め、種類が多く、セミ、アメンボ、タガメ、タイコウチなども仲間に含まれる。いわゆるカメムシは、体長1センチ前後の種類が多く、植物や果物の汁をストロー状の口で吸う。卵から幼虫になり、さなぎにはならずに成虫となる。「クサムシ」などと呼ばれるが、種類によっては臭くないものもいる。羽の光沢が美しく、昆虫採集の対象となる種もある。他の虫の体液を吸う種類もおり、農地の害虫駆除のために生物農薬として利用する研究も進められている。