<全国高校野球選手権:大阪桐蔭5-3明徳義塾>◇19日◇2回戦

 明徳義塾(高知)・エース岸潤一郎(3年)が4度目の甲子園に確かな足跡を残した。序盤に連打を浴び5点を失ったが、5回以降は無失点。9回最後の打席では意地の2ランを見せた。「やることはやった。堂々としている姿を見てほしかった」と胸を張った。

 6月中旬に右肘を痛めた。県大会準々決勝あたりから再度痛みだし、決勝後の夕食時にはチームメートに「限界きてるわ」と一言漏らしたが、それ以外は周囲に弱音を吐かなかった。劣勢だった試合中は「まだ行けるぞ」と1人1人に声を掛けた。昨年とは違う主将の姿だった。

 ベンチから外れた小松義彦(3年)が岸をマッサージすると、肩周りや太ももが1年時より二回りも大きくなっていることに気づいたという。心も体も大きくなっていた。

 甲子園という大舞台が、細身で気持ちが弱かった少年を頼もしいエースに成長させた。「4度出させてもらって自分の中に残る物は大きい」。卒業後は大学進学予定。多くの経験は岸だけの財産だ。【磯綾乃】