<高校野球東兵庫大会:神港学園2-1滝川>◇20日◇準々決勝

 スーパー2年生が快投だ!

 神港学園が橋本渉(2年)の11奪三振1失点完投で、2年ぶりの4強入りを決めた。報徳学園、滝川二、神戸弘陵も勝ち、ベスト4が出そろった。和歌山大会では智弁和歌山・坂口真規一塁手(3年)、南大阪大会では上宮太子・林尚希一塁手(3年)が3試合連続の本塁打を放って快勝した。

 グラウンドの気温が35度まで上昇しても、橋本は最後まで全力で投げ抜いた。1点リードの9回2死。最後の打者は得意のスライダーで三振に仕留めた。7回に失策がらみで1点を失ったものの、11奪三振の完投は胸を張れる。特に1、3回と三者連続三振を奪ったのは圧巻だった。来秋のドラフト上位に名を連ねることが確実な神港学園の期待の2年生左腕は、笑顔で大粒の汗をぬぐった。

 「コントロールが自分でもビックリするくらい良かった。打たせて取ることを考えて投げましたけど、やっぱり三振が一番気持ちいいですね。次も一生懸命に投げる。それだけです」。

 北原光広監督(55)からも全幅の信頼を受ける。1失点完投した17日の尼崎産業戦後、指揮官から「オレはお前と心中するからな」と伝えられた。橋本は「それはできません。まだこんなところで死ねません」と真顔で即答。背番号は「3」を付けているが、同監督は「野球は背番号でやるものじゃない。何番を付けていようがアイツがエース。今日も安定した投球をしてくれた」とほおを緩めた。

 自己管理も徹底している。多い日は150~200球を投げ込むが、試合前日は20球以上は投げない。監督から指示を受けるのではなく、自分で球数や調整法を管理している。練習を終え、自宅に戻ると入念にストレッチをこなす。背番号3のエースは「人に言われるのではなく、自分で考えてやる。ケガをしない体作りが大事です」とプロ選手のように高い意識を持つ。

 目標の甲子園まで、あと2勝に迫った。「もっと上を見てみたい」。将来性豊かな2年生左腕は、夢舞台に向かって進んでいく。【益子浩一】