<高校野球奈良大会>◇16日◇2回戦

 近畿のドクターKが本領発揮だ。奈良大会で、奈良大付・松田浩幸投手(3年)が青翔打線を相手に7回15三振1安打無失点の快投を見せ、6-1の快勝で初戦を突破した。1試合で24三振を奪ったこともある左腕が、実力通りの結果で魅せた。

 軽く投げて、三振の山を築く。松田が6回まで8連続を含む15奪三振を記録した。しかも6回まで完全投球。7回に相手3番の藤井亮太中堅手(3年)に中前打を浴び、7回1安打無失点で降板したが、今春の関大北陽(大阪)との練習試合で24奪三振をマークした「近畿のドクターK」の本領を夏の初戦で発揮した。

 伸びのある直球、低めにコントロールされたスライダーに青翔打線のバットが空を切る。視察の5球団6人のスカウトもうなった。楽天吹石スカウトは「軽~く投げて、ビシッとくる。キレがいい。腕も振れてる。打席に立ってみたい」。近大進学を決めた左腕だが、プロを魅了する逸材だ。

 手本はソフトバンクの杉内。軽く投げて強い球という理想を追い、研究を続けた。「今日は80点ぐらい。初球から打ってほしいなと思ったけど、前へ飛ばないんで。省エネでいきたかった」。三振の山を築いても心は乱さなかった。「初回、先頭に(カウント)2-3から変化球で三振をとれた。前なら四球だった。でも抜け球も多かった。上へ行くと、見逃してくれない」と自信を深める一方、冷静に自分を見る。次戦はこの日封印した高速スライダー、パームを解禁し、夢へ進む。【村上久美子】