日本プロ野球と同様に、メジャーでもポストシーズンの白熱した試合が続いています。ナ・リーグ地区シリーズ第5戦では、2勝2敗で敵地に乗り込んだドジャースが4時間32分の激闘の末、ナショナルズを振り切り、リーグ優勝決定シリーズ進出を決めました。

 最終的な結果はともかく、メジャーではプレーオフのカギを握る要素のひとつとして、ホームアドバンテージ(本拠地開幕権)を重要視する意識が定着しています。スタジアム全体がご当地のチームカラーに染まり、1球の判定、けん制球1球、敵の捕手がマウンドに向かうだけで大ブーイングが飛び交うなど、まさに「地元一色」の雰囲気に包まれます。

 5試合制の地区シリーズは「2(ホーム)-2(ビジター)-1(ホーム)」、7試合制のリーグ優勝決定シリーズ、ワールドシリーズは「2-3-2」のフォーマットで行われます。数字上は、わずか1試合の「差」ですが、この1試合がシリーズの行方を左右することも多いため、各チームはペナントレースの最後まで真剣な戦いを続けるというわけです。

 その一方で、短期決戦の期間中に広大な大陸間を移動するわけですから、選手にとってかなりの負担になるのも事実です。実際、「ナショナルズ-ドジャース」の第2戦は雨天中止となったため、翌日の移動日に順延。両チームは試合後の深夜、東海岸のワシントンから時差3時間の西海岸のロサンゼルスへ舞台を移し、デーゲームで第3戦を戦いました。どの選手も睡眠時間はわずかのはずでしたが、不平不満の声は聞こえてきません。それがプレーオフでは当然のことだからなのでしょう。

 日本のCSの場合、すべて上位チームの地元で開催されています。3試合制のファーストステージはともかく、全6試合を同じ場所で行うファイナルステージには、どうしても違和感を覚えてしまいます。リーグ覇者に敬意を払う姿勢は理解できますが、1勝のアドバンテージで十分という意見はないのでしょうか。今年の場合、ソフトバンク、DeNAのファンは地元で応援できないわけですが、もしメジャーで同様のシステムになるとすれば、間違いなくファンの抗議運動が起こるはずです。

 確かに、運営側の事情も、球界内のコンセンサスも重要でしょうが、本当にファンが喜び、底辺を拡大するためには何が必要なのでしょうか。日米両国で盛り上がるポストシーズンを機に、あらためて両国間の違いが見えたような気がします。