<オープン戦:レッズ7-7ヤンキース>◇14日(日本時間15日)◇フロリダ州サラソタ

 【サラソタ(米フロリダ州)14日(日本時間15日)=千葉修宏】ヤンキース松井秀喜外野手(33)が、思わぬ形で開幕スタメンの座を手にした。この日のレッズ戦前、12日のレイズ戦で乱闘の中心となったダンカン、カブレラの2選手に、開幕から3試合の出場停止処分が下った。指名打者候補と外野の一角が開幕カードで不在となるため、松井がDHか左翼に入ることがほぼ確実となった。予期せぬ状況となり、31日(対ブルージェイズ)、本拠地ヤンキースタジアムに背番号55が立つ。

 望まぬ形で開幕スタメンの座を確実にした松井が、悲壮な表情で口にした。レッズ戦後のロッカー室。「その時には、いるメンバーで頑張るしかない」。普段は陽気におしゃべりに興じる他のナインたちも、静まりかえったまま。報道陣に囲まれたジラルディ監督は「開幕カードでの2人の不在は確かに痛い。でも前に進むしかない」と、自分に言い聞かせるように繰り返した。

 この日の午前中、大リーグ機構が、12日のヤ軍-レイズ戦での大乱闘について処分を発表した。岩村の右太ももをスパイクしてきっかけをつくったダンカン、乱闘の中で相手選手を殴ったカブレラの2人に、罰金と開幕からの3試合出場停止処分。ダンカンにタックルしたレイズのゴームズには罰金と2試合の出場停止が科された。ヤ軍側はさらに処分が重く、ジラルディ監督、ミーチャム三塁コーチ、ロング打撃コーチも罰金処分を受けた。

 悔しさで目を潤ませたダンカンらヤ軍の2選手が異議申し立てをするかどうかは未定。現在、本人、代理人、キャッシュマンGMを交えて対応を協議中だ。だが異議を唱えても、出場停止処分がゼロになる可能性は限りなく低い。このため松井は、31日のブルージェイズ戦では、ダンカンと争っていた指名打者か、カブレラ不在でデーモンが中堅に回るため、空いた左翼に入る見込みだ。

 松井はこの日のレッズ戦に「3番DH」で出場。3打数無安打1四球ながら、2度大きな飛球を中堅に放ち、ジラルディ監督から「強い打球を打っていた。良い兆しだ」と評価された。自らも「スイングは悪くないけど、詰まっちゃったという感じ」と、徐々にではあるが手応えはつかんできている。

 15日(日本時間16日未明)にヤ軍は再びレイズと対戦。レイズ側は配慮してゴームズをメンバーから外したが、ヤ軍はダンカンをベンチ入りさせる。しかし、松井にとって因縁は関係ない。一時は厳しかった開幕スタメンだが、思わぬ形で6年連続で迎えることになった。