【テンピ(米アリゾナ州)20日(日本時間21日)=大塚仁】エンゼルス松井秀喜外野手(35)が思わぬ形で新天地での「初打ち」を行った。キャンプ地でコマツのCM撮影が行われ、ユニホーム姿でフリー打撃を行った。ティー、トス打撃を含め、ボールを打つのは昨年のワールドシリーズ以来。CM撮影だったとはいえ、真剣モードで計100スイング以上振り込んで、2月23日(同24日)のキャンプインへ、調整ピッチを上げてきた。

 キャンプインを待たずして、松井が新天地の背番号55のユニホーム姿を披露した。CMの出番を待つまでは黒いベンチコートを着ていたが、出番の声がかかると、巨人監督時代の長嶋氏(現終身名誉監督)ばりに脱ぎ捨てた。真っ赤なヘルメットで、昨年11月のワールドシリーズ以来となるフリー打撃を行った。

 ロヘリオ通訳が投げる球を気持ち良さそうに外野に飛ばした。左右に打ち分け、軽いスイングでも打球はフェンスまで伸びた。フリー打撃だけで49球、32スイング。さらにその後のトス打撃も含めると100スイングを超えていた。松井は「(打ったのは)初めてだよ。しんにもちゃんと当たってたから、よかったんじゃない」と久々の感触は上々だった。

 CM撮影とはいえ、正真正銘の初打ちだ。慎重に進めたオフの国内自主トレでは、トス打撃なども含めて全くボールを打たなかった。完治を目指す左ひざに注意を払いながらメニューをこなしてきた。バットを握らない期間が長くなっていただけに、撮影という形でのリラックスした初打撃はちょうどいい試運転だった。

 昨年12月の入団会見では上半身だけのユニホーム姿だったため、この日が初披露となった全身ユニホーム姿には「思ったより似合ってるんじゃないかな。(赤色に)もうそんなに抵抗はないよ」と強調した。23日のキャンプインが待ちきれないように、「エンゼルス松井」が次々に先のステージへと進んでいく。