<ダイヤモンドバックス9-12マリナーズ>◇19日(日本時間20日)◇チェースフィールド

 苦しみながら、また1つ節目をクリアした。マリナーズ・イチロー外野手(38)が、敵地ダイヤモンドバックス戦の1回に中前打を放ち、日本選手として初、大リーグ公式ホームページによると91人目のメジャー通算2500安打を達成した。1817試合での到達は4番目の速さで、デビューから11年78日での到達は史上最速。節目の記録まで1安打で迎えたこの日は4安打2打点をマーク。打撃不振で“強制休養”させられた前日の悔しさを爆発させた。

 危機感が、イチローを奮い立たせた。前日に事実上の“スタメン落ち”を味わった直後の一戦で、1回の第1打席から集中していた。昨季16勝右腕ハドソンから中前打を放ち、王手をかけていた通算2500安打を達成。敵地ファンから拍手が起こっても、一塁ベース上で淡々とした表情を崩さなかったが、胸の内では重みをかみしめていた。

 イチロー

 アロマーが2500を打った時(2002年)に「とんでもない数字だな」と思った記憶がある。そこまで来たことに、感慨深いものがある。

 1817試合での達成は史上4番目の速さだが、ここ2年はペースダウン。デビューから10年連続200安打を記録したペースでいけば、1769試合で到達しており、1位シモンズの1784試合より早かった。昨季は初めて200安打に届かず、打率も初めて3割を切る2割7分2厘。今季も2割6分5厘と苦境にあえぐ中で節目に届き「ちょっと遅いですけどね」ともどかしさものぞいた。

 前日は打撃不振で休養を与えられ、試合中に川崎と打撃マシンで“特打”を行うほど悔しがった。この日は日本開幕戦以来の4安打を放ち「まあ、今日4本だから何とか形になった感じ」と面目を保った。「最近思うのは、今まで打ってきた2400何本のヒットが、今日の試合では何の役にも立たない世界にいるということ。気持ちいいのは一瞬しかないということ」。10月で39歳。現実から目を背けず、安打を積み重ねるだけだ。