巨人菅野智之投手(25)が、2年連続の開幕投手を決定的にした。ソフトバンクとのオープン戦に先発。被安打は4回に浴びた松中の2ランだけで、5回を2失点にまとめた。前回登板の2月28日ヤクルト戦(東京ドーム)では3回6安打3失点と乱れたが、不安を一掃した。内海が左前腕部の炎症で開幕ローテから外れる中、大本命に船出を託す。

 王道の攻めが、復調を物語った。4回、2ランを浴びた直後。菅野がもう1段階ギアを上げた。打者は内川。初球のカットボールでカウントを稼ぎ、懐をえぐる直球で体を起こす。カーブで追い込み、フォークで空を切らせた。「コントロール、キレが戻りつつある。これならいける、という感覚を得られた」。自信に満ちた表情でマウンドに立ち、打者をねじ伏せる。真の菅野の姿だった。

 真っすぐも、変化球のキレも抜群だった。常時140キロ台中盤で最速は146キロをマーク。数字以上にボールの強さ、制球力も光った。5回を投げ、被安打1、2失点。3四死球を与えたが、ベース板の四隅をつき、勝負した結果だった。「1つ1つのボールは前回よりも格段に良かったです」。四球の後の1発は反省材料だが、投球内容、質ともに今季一番だった。

 自らの結果で大本命だった開幕投手の座は決定的とした。オープン戦で調子が上がらず、「1人、だらしのない人がいるな」と指摘した原監督を「十分。何人かの候補に入るピッチングでした。本来の形に近いものが出た」と納得させた。「15日になったら決めるよ。有言実行で」と明言は避けたが、開幕投手の基準に挙げたファンの心をつかむのに十分な内容だった。

 試行錯誤の11日間でよみがえった。首脳陣の配慮に感謝しながら、復調への糸口を模索。好調時の映像を目に焼きつけ、遠投、シャドーピッチングでフォームの修正に励んだ。開幕投手ついて、菅野は「任されたポジションを全力でやる。気負わず、自分の仕事を全うしたいです」と言って、こう続けた。「シーズン通して戦えるように、いい状態で開幕を迎えたいです」。4連覇への第1歩を刻む覚悟は、すでに心の中にある。【久保賢吾】