不安一掃の開幕予行弾や! 阪神の主砲マウロ・ゴメス内野手(30)が25日、シート打撃で評価急上昇中のルーキー石崎から左翼席へ本塁打を放った。開幕戦の舞台、京セラドーム大阪での1発は、オープン戦ラスト3試合で11打数無安打5三振と苦しんだ姿とのオサラバを意味。不動の4番は明日27日、最高の気分で2年目のスタートラインに立つ。

 ゴメスはまず、普段通りのうつむき加減で打撃内容を振り返った。これまで試合や練習後のトークは喜怒哀楽をほとんど出さないシャイなスタイル。そんな男がポロリと心中をのぞかせた。報道陣の輪から出る間際、指でピースサインをつくり笑顔でロッカールームへと引き揚げたのだ。

 「実際のピッチャーと対戦してボールもよく見えていた。開幕に向けていい練習ができた」

 最高のデモンストレーションだった。肝っ玉ルーキー石崎と対戦した第2打席。鋭い体の回転でパワーを内角に食い込んできた直球に伝えた。左翼線方向へ上がった打球は、空調が切られ無風のドーム内を緩やかに進み、無人の左翼スタンドに落ちた。18日ヤクルトとの無観客試合以来のスタンドインに「いいところで捉えられたと思う」と好感触を口にした。

 前回のアーチからわずか1週間。短い期間のように感じるが、深刻な不振に陥った。オープン戦ラスト3試合で11打数無安打5三振。場所はこの日と同じ京セラドーム大阪だった。チームは3試合で2点しか奪えず、打線全体の低調へと波及。それがこの日、第1打席でも左前安打をマークするなど2打数2安打。危機感を抱いていた和田監督も「納得いくスイングができたんじゃないか。感触としていい2打席だったんじゃないかな」と一安心だ。

 昨年もオープン戦はさっぱりのまま開幕戦を迎えた。シーズン26本塁打だが、来日初アーチは4月17日広島戦までお預けだった。今年はすでに“2本”。「去年? それは過去のこと。今年はいい形で開幕を迎えられると思う」という声が頼もしい。無観客試合、シート打撃と虎党はまだアーチをその目で見ていない。開幕戦アーチとなれば最高だ。開幕2日前の一撃は、歓喜の瞬間が近いことを示しているに違いない。【松本航】