主砲が早くも目覚めた。日本ハム中田翔内野手(25)が、楽天3回戦で、2回に今季1号ソロを放った。開幕3試合、10打席目はプロ8年目で自己最速弾。開幕2試合で無安打と苦しんでいたが、推定130メートルの特大アーチで4番が復活。先発全員安打の17安打11得点を奪う大勝劇に一役買った。投打ががっちりかみ合ったチームは、2年連続で開幕カードに勝ち越した。

 引き締まった肉体が鋭く回転した。2回2死。フルスイングした中田が打席で足を止めた。打球を見つめて約3秒。確信した。「いい感じに(打球が)スライスして(フェアゾーンに)戻ってくれた」。一塁へゆっくり歩を進めると今季1号ソロが左翼席中段へ着弾。開幕3試合、10打席目は8年目で自己最速。「完璧。バットが内から出ているから、ああいう打球が打てた」。会心だった。

 モヤモヤを吹き飛ばした。初回、中前打で今季初安打。一塁塁上で笑みが止まらなかった。「開幕していなかったのが僕と(西川)遥輝。試合前に話して『さすがに今日は出るだろ』と。遥輝より先に打ちたかったから」。開幕2試合で無安打は2人だけ。5回に二塁打を放った後輩より先に「開幕」。気分も乗った。

 新たな姿に生まれ変わろうとしている。現在の体重は94キロ。昨季終了時が107キロで、1月の米ハワイでの自主トレ終了時が98キロ。春季キャンプ、オープン戦で4キロ減らし、計13キロの「激やせ」に成功。ユニホームのベルトの穴は昨季から1つ狭まった。

 昨季終盤は両脚や腰に痛みを抱えた。3桁の体重が下半身へ負担をかけた1つの要因だった。オフから食事面で最初に大量の野菜を食べることを地道に継続。今では他に鶏のささみなどのメニューが、もう1品あれば満腹に近づくという。思わず周囲に「胃袋が小さくなったかも」と漏らすほど、日頃の節制に肉体もシンクロしてきた。

 攻守交代や凡打でも全力疾走を貫く。4回に中飛に倒れた打席も二塁まで走った。栗山監督は「凡フライだったのに走る姿が、かっこいいよね」と、4番が見せた姿勢をたたえた。「久々に気持ちいいスイングができた」と、心も晴れた主砲が頼もしくチームを引っ張っていく。【木下大輔】