昨秋日本一の駒大が、エースを欠きながら快勝し連覇へ好発進した。ドラフト1位候補の今永昇太投手(4年=北筑)が左肩の腱板(けんばん)炎症で離脱。初めて開幕投手を任された2年生左腕の東野龍二投手(履正社)が初完投、5安打完封で3勝目を飾った。打線は10安打を放って援護し拓大に勝利した。

 不安は、みじんも感じられなかった。開幕投手を任された東野は、堂々と左腕を振った。初回を3者凡退で終えると、2回はルーキーで4番を張る森の初球には計測不能の緩いカーブを放った。「サインが出たので投げましたが、あれは自分の遊び心です」。真っすぐで遊ゴロに仕留めると、ピンチらしいピンチを迎えることなく9回を投げ切った。

 エースは3月下旬の練習中に左肩を痛め、腱板炎症と診断された。東野は「聞いた時『うそやろ…』と思いました」と振り返ったが、5日に正式に先発を言い渡されてからは切り替えた。試合中のベンチでは今永に鼓舞され、真っすぐとチェンジアップを軸に7三振を奪った。食事中に一発芸を振られても難なく対応する度胸の持ち主は、初完投で5安打完封をやってのけた。

 大黒柱が不在でも、きっちり初戦をものにした。西村亮監督(40)は「東野は自分のペースを崩さずによく投げてくれました。今永は無理して投げさせるつもりはありません。リーグ戦を通じてみんながレベルアップしていくことが大事」と言い切り、昨季王者が強さを見せつけた。【和田美保】