東北福祉大の陽岱鋼になる。仙台6大学野球春季リーグ戦が、明日11日に開幕する。東北福祉大の井沢凌一朗外野手(3年=龍谷大平安)は、レギュラーになった昨秋の背番号38から、今春は「1」に昇格した。日本ハム陽岱鋼(28)と同じ番号でポジションも同じ中堅手。打って守って走って、チームを2季連続66度目の優勝に導く。

 背番号1の自覚十分だ。井沢は「チームで一番格好いい番号。それに見合う結果を残したい」と言葉に力を込めた。昨秋は主に9番打者ながら、打率3割3分3厘の成績を残してベストナイン賞を獲得した。今春は6番を任される予定。打率をさらにアップさせて「首位打者」と、高いハードルを課した。

 昨年の背番号1、千葉義浩捕手(22=日本新薬)が卒業して空き番号になった。村瀬公三助監督(48)は「陽岱鋼のように打って走って守れる選手に」との願いを込め「1」を託した。山路哲生監督(48)も賛同した。井沢も陽岱鋼を「憧れの選手の1人」と話す。

 プレースタイルも似ている。昨秋は出塁しても、上位打線に回るため盗塁の機会がなかったが、50メートル走6秒0の俊足。守備は打球に対しての1歩目が速い。高校時代にフリー打撃で中堅の守備につき、打球の角度などを瞬時に判断して捕球する練習を積んでいた。山路監督は「センターへ飛んだ“あっ”という打球に追いついている」と守備範囲の広さを認める。

 高3夏の甲子園では、1試合2本塁打(旭川工戦)を放った。この冬は筋力トレーニングの効果で、4キロ増の体重73キロと線の細さを解消した。オープン戦では「長打が増えた」と井沢は言う。先月29日の日本通運とのオープン戦では、待望の「大学1号」を右打席から右中間へ放り込んだ。

 夢はプロ入り。今年1年間の成績が、来年4年生時にドラフト候補になるかどうかを決める。「去年はチャレンジャーで思い切ってやっていた。今年は上級生なのでチームを引っ張る」。開幕戦の東北工大戦から、走攻守にエンジンを全開させる。【久野朗】

 ◆井沢凌一朗(いざわ・りょういちろう)1994年(平6)10月29日、大阪市住吉区生まれ。苅田北小1年の時、住吉大和川リトルズで野球を始める。我孫子中では新城東シニアに所属。龍谷大平安では1年秋からベンチ入り。投手も兼任し最速145キロを計測するなど肩も強い。高校通算9本塁打。東北福祉大では1年春からベンチ入り。同年6月の全日本大学選手権で公式戦初出場。176センチ、73キロ。右投げ右打ち。家族は母と兄、弟。