ヤクルトの4番雄平外野手(30)が、3試合連続のV打を決めた。0-0の6回2死一、二塁から左越えの2点適時二塁打を放った。続く5番畠山和洋内野手(32)も負けじと、2死二塁から左翼席へ3号2ラン。体重83キロ(公称)の雄平と100キロ超の畠山。11勝中、デコボココンビで7度のV打をマーク。チームは今季3度目の3連勝で、貯金を最多の4に伸ばした。4、5番の働きで単独首位をキープした。

 まずは、4番が仕掛けた。6回2死一、二塁。雄平は、前進していた外野の守備位置を確認。初球からぶっ放した。山口の高め148キロ直球を逆方向へ運んだ。風に乗った打球は、目測を誤った左翼・筒香を惑わす一打。左越えの決勝2点適時二塁打となった。「石川さんがナイスピッチングをして、みんなで作ってくれたリズムにうまく乗れた」と冷静に振り返った。

 今季から新たに4番に就任。15日の広島戦(松山)から3試合連続の決勝打。波に乗るが、持論は揺るがない。「4番は、決定的な仕事をする人。本塁打を放つ人。僕は4番目に打つくらいにしか考えていない」。何度、質問を受けても答えはいつも同じだ。

 出場18試合で、中日福田の13に次ぐ日本人2位の12打点を打ち立てる。だが、本塁打の数は「2」。

 雄平 僕の理想は、弾丸ライナーの打球を打つこと。本塁打にこだわりは一切ないです。

 来た球を、ライナーで打ち返すことしか頭にない。独自の美学が、数字に詰まっていた。

 4番の独り舞台にはさせなかった。2点をリードし、なお2死二塁。畠山は、山口の真ん中140キロ直球を左翼席に運んだ。「完璧な当たり。盛り上がっている中で、1発がでたのは大きい」と振り返った。

 必殺仕事人ぶりを発揮している。3試合連続決勝打の雄平に対して、4度のV打をマーク。「全然考えていない」と謙遜したが、2月の頃には、今の姿を想像することは容易ではなかった。

 春季キャンプの練習後、向かう先はトレーナーの元だった。「痛い…。痛いんだよ」。毎日、臀部(でんぶ)への注射が欠かせなかった。痛みと闘いながらの練習。患部をかばうことでキャンプ終盤に、左足ふくらはぎに張りが生じた。ようやく痛みが取れて迎えたシーズン。「去年よりも大胆に打撃は出来ている」と調子は上々だ。言葉通りに、雄平に並ぶ12打点をマークしている。

 4番が打てば、5番も打つ。今のヤクルトの原動力だ。体重差約20キロのコンビが、チームをけん引している。【栗田尚樹】

 ▼ヤクルトが今季3度目の3連勝で単独首位をキープ。この3試合はすべて雄平の先制打がV打点。3試合連続V打点は、13年に村田(巨人)マートン(阪神)バレンティン(ヤクルト)李大浩(オリックス)の4人が記録して以来だ。今季、セ・リーグのV打点は畠山(ヤクルト)の4度がトップで、3度の雄平は2位タイ。チーム11勝のうち2人で7度記録している。この日は雄平の2点二塁打に続いて畠山も2ラン。これで雄平が打点を挙げた試合は8勝0敗、畠山が打点を挙げた試合も6勝0敗と、2人が打点を挙げればチームは負けない。