ソフトバンク柳田悠岐外野手(26)が、驚異的なパワーでチームを2位に浮上させた。6回に自身3本目の満塁本塁打を放つなど、自己最多となる1試合6打点の大暴れ。今季最多12得点の猛攻で、圧勝の立役者になった。今日17日の西武戦に勝てば、工藤政権初の首位に立つ。

 柳田だから描けるアーチだった。5点リードで迎えた6回裏2死満塁。西武岡本洋の144キロ外角直球を強振した。打球は低い弾道で、左中間のテラス席に飛び込んだ。自身3本目のグランドスラム。今季6本塁打のうち、センターから左が4本。逆方向への1発は、代名詞になりつつある。

 「入るかな? と思って走った。いいスイングはできた。前のバッターがチャンスを作ってくれている。感謝ですね」

 ベンチに戻ると、工藤監督が聞いた。

 「詰まった?」

 「はい…」

 このやりとりに、指揮官は感嘆する。「すごいよな。詰まってライナーで入る人はそういない。フリー打撃なら分かるけどね。パワーもあるが、技術がないと、野球のボールはあそこまで飛ばない」。この言葉に、柳田は照れ笑いを浮かべた。「たまたまですよ」。初回にも左翼フェンス直撃の2点二塁打を放った。先頭打者で迎えた6回の打席は確実にミートして、中前打。自己最多となる6打点の打撃は、偶然では片付けられない。

 今季から3番が持ち場になった。「コロコロと打順が変わるのも、今日何番やろ? という楽しみがある。今は任されている責任がある」。開幕から打撃不振に陥ることなく、3割5分前後の打率で推移している。吹っ切れた性格が好成績を生んでいるのか。「今日良くても、明日どうなるか分からない。終わったことなんで。やることをやって休む。良くても悪くても、次の日は来る」。主役の活躍でも、心をリセットして朝を待つ。大暴れの1日もシーズンの1日に過ぎない。

 柳田の働きで、チームは2位に浮上した。今日17日も勝てば、工藤政権では初の首位となる。指揮官は「首位というよりも、引き分け、勝ちときて、もう1つ勝てば大きい。全力でがんばります」と順位はまだ意識しない。前夜12回ドローからの圧勝。その底力が頼もしかった。【田口真一郎】

 ▼ソフトバンク柳田が満塁本塁打と2点二塁打で6打点。柳田のグランドスラムは12年10月3日日本ハム戦(札幌ドーム)、14年4月27日西武戦(ヤフオクドーム)に次ぐ3本目となった。1試合6打点は自己最多。これまでは5打点(14年4月27日西武戦の満塁弾と適時中安打)が最多だった。