中日エクトル・ルナ内野手(35)が苦手マエケンにようやく一泡吹かせた。昨季は14打数無安打。今年初対戦でさっそくやり返した。初回2死二塁のチャンスで左越えに1-1とする適時二塁打。「2死だったし、とにかくヒットを打って走者をかえそうと思っていたよ」とドヤ顔だ。

 2つのモチベーションがあった。1つは前田打ち。「マエダといういい投手が相手だったから。(2回に)亀沢が満塁で打ってくれてよかったよ」。そしてバルデスへの白星プレゼント。これまでバルデス登板時の援護点は平均1・6点。勝ちがつかないのは打線の責任でもあった。

 「神様のおかげでやっと勝てたね。もう10度目だからね。これからもっともっと勝ってほしいよ」

 思い余って? 7回にはまさかの退場劇もあった。1死一、二塁の追加点のチャンスでカウント0-2から外のスライダーを見逃し三振。不服そうな顔でバットで地面にラインを引いたところ、石山球審に「ストライク判定に対して侮辱行為があった」と退場を告げられた。

 ルナは「結果的にチームに迷惑をかけてしまった」と頭をかいた。中日助っ人勢の退場は05年のアレックス以来10年ぶり。優良助っ人ぞろいの中日ではめずらしいシーンだったが、温厚なルナはそれほどこの試合に燃えていた。マエケンを打って、バルデスも勝って。マイナスデータを2つ消して、気分よく豊橋に向かうバスに乗り込んだ。【柏原誠】