ドタバタの「初白星」だ。日本ハムのビクター・ガラテ投手(30)に中継ぎ転向後、初勝利が舞い込んだ。1点をもぎ取った直後の延長11回。守護神増井の後の6番手で登板した。「この回を締めて、終わりにしようと思った」。決意は無情にも、空回りした。先頭松井稼に左翼線二塁打。続く藤田に犠打でつながれ、動揺を隠しきれなかった。1死三塁で四球を出し、左犠飛で同点とされた。「残念ながらダメだった」。その後も死球などが絡み2死満塁までピンチを広げたが、薄氷の思いで二飛に打ち取った。

 最終12回に、打線が爆発し一挙4点を奪った。再び近づいた勝利への瞬間に「打線には本当に感謝しているよ」と気持ちを切り替え、戦闘態勢を整え直した。12回も続投。気迫を見せた。空振り三振、一ゴロ、中飛。この回は10球で抑え、長かった勝利につなげることに成功した。「とにかくチームが勝ったので、うれしいよ」。

 ベネズエラ出身の生粋の明るさを持つ新助っ人。「良かった、良かった、良かった…」。この日ばかりは陽気な一面は封印し、「自作自演」の勝利の味を静かにかみしめていた。【田中彩友美】