DeNAが長い眠りから覚めた。宿敵巨人に逆転勝ちで、3日ソフトバンク戦(横浜)からの連敗を12で止めた。6回に打者9人の猛攻で4点を挙げて逆転に成功すると、9回には4番筒香嘉智外野手(23)の65打席ぶりとなる12号2ランでダメ押し。中畑清監督(61)は「全員野球で勝ちゲームを作れた」とナインをたたえた。大型連敗を脱したDeNAが再び前へと動きだす。

 目頭を熱くした。約3週間ぶりの白星をもぎ取った中畑監督が一気に吐き出した。「やっと、こういう日を迎えられた。長かった。よく頑張った。ミスのない野球でよく粘った。みんなが集中して良かった時の野球の質を出せた。スタートラインに戻れた感じの連敗ストップだった」。苦しみ抜いたここまでを思い返しながら1勝の味をかみしめた。

 連敗脱出に必要不可欠と公言していた「全員野球」を体現した。2点を追う6回、2死から筒香が四球を選んで出塁。ロペスが中前打でチャンスを広げると、バルディリスもフルカウントから四球で満塁の絶好機を演出した。久々に漂った反撃ムードに倉本がしぶとく左前に落とす同点打を放つと、代打荒波が四球で再び満塁。中畑監督の「チャンスがあれば、攻めだるまで行く覚悟だった」と積極采配で、代打下園が勝ち越し2点打で一気に試合をひっくり返した。

 序盤戦の驚異的な快進撃をほうふつさせる逆転劇は「チーム・キヨシ」の精神が導いた。連敗中に「元気だけは出せ。それがなければ勝てない」と底なしの明るさで一切の悲愴(ひそう)感を打ち消した。高城が「うちの勝ち頭を連れてきました」と、選手寮から実物大に近いパンダのぬいぐるみをロッカールームに持ち込み、嶺井は“きっと勝つ”にちなみ、お菓子のキットカットを両手の袋いっぱいに買い込みナインに振る舞った。この日の投手陣の練習前には小杉が入団当初の川村投手コーチの顔写真を胸に貼り付け「選手もコーチも初心を忘れずに連敗を止めましょう!」と盛り上げた。

 笑いあり、涙ありのキヨシ軍団が、一枚岩で団結し苦境を打破した。鮮やかな逆転を成し遂げた6回の打者9人が連なった猛攻は、交流戦に貯金10を携えた5月24日の阪神戦以来。「序盤はできていた形。久しぶりに思い出させてくれた」と収穫十分の連敗ストップだった。快進撃から7連敗、再び快進撃からの12連敗と浮き沈みは激しさを極める。「本当にジェットコースターみたいだよ。この先? 明日勝ってからだよ。明日負けたら、また連敗のスタートになってしまうかもしれないから」と豪快に笑い飛ばした。【為田聡史】

 ▼DeNAが逆転で連敗を12で止めた。逆転勝ちはリーグトップの18度目と得意のパターンが復活。連敗中は9試合で先制を許したが、1分けが精いっぱいだった。この日は救援した4投手が無失点。連敗前にチームの救援防御率は2・96だったが、連敗中は5・23と悪化。複数の救援投手が無失点リレーしたのは、5月27日オリックス戦以来19試合ぶり。

 ▼倉本が同点2点適時打。倉本は高木勇と好相性で10打数6安打3打点で打率6割。高木勇から5安打以上を放っているのは、倉本だけ。倉本が4安打以上を放っているのは高木勇だけ。